健康食品・医薬品

落ち込みやすい・疲れやすいなど"なんとなく不調"の原因は?細胞から元気にしてくれるオメガ3の油に注目

2022.11.30 18:25 更新

 長引くコロナ禍において、人との接触が減ったり、生活環境の変化や生活への不安などから、落ち込みやすい、疲れやすい、イライラ、頭痛や不眠、気分がすぐれないなど、“なんとなく不調”を抱えている人が、大人にも子どもにも増えているようだ。そして、そんな私たちの身体で起きている、さまざまな不調は、“オメガ3の油”不足が原因かもしれないという。そこで今回、日本脂質栄養学会 理事長で、気分障害を中心としたオメガ3系脂肪酸に関する脳機能研究の第一人者である麻布大学 生命・環境学部の守口徹先生に、オメガ3の油について詳しい話を聞いた。

 「私たちの身体は約37兆個の細胞からできている。すべての細胞は脂(オイル)でできた細胞膜で覆われているのだが、オメガ3の油は、その細胞膜を柔らかくして、細胞内に栄養素をしっかりと届け、余計な老廃物を排出し、細胞を元気にする手助けをしてくれる。細胞膜を柔らかく保つことが、実は、健康な心身を保つためのカギになる」と、オメガ3の油は、健康維持のために重要な役割を担っているのだと守口先生は語る。

 では、オメガ3の油とはどんな油のことを指すのだろうか。守口先生は、「まず、油=脂質は、糖質・タンパク質と並ぶ『3大栄養素』のひとつで、タンパク質や糖質の約2倍のエネルギーを作り出す効率のよいエネルギー源。細胞膜やホルモンの構成成分として重要な栄養素である。脂溶性ビタミンの吸収を助けたり、体温の保持、内臓の保護をする役割もある。脂質を構成している成分を『脂肪酸』と呼ぶのだが、肉や乳製品など動物性脂肪に多く含まれる常温で固体の“脂”=飽和脂肪酸と、植物油や魚に含まれる常温で液体の“油”=不飽和脂肪酸に分けられる。液体の油・不飽和脂肪酸の中で、体内で作ることができず必須脂肪酸と呼ばれているのがオメガ6・オメガ3であり、特に毎日少しずつでも摂取してほしいのが、オメガ3の油となる」と説明してくれた。

 「オメガ3とは、魚油に含まれているEPA・DHA、アマニ油・えごま油などの植物油に含まれているα-リノレン酸など、その構造が共通した脂肪酸のグループの名称。オメガ3の油は、私たちの体を作っている約37兆個といわれているすべての細胞を覆っている膜を作る大切な材料となっている。細胞膜は栄養を取り込み、老廃物を排出する『門番』のようなはたらきをしている。細胞が効率良くはたらくためには、細胞膜が固くなりすぎず、かつ柔らかくなりすぎずに適度な柔軟性を発揮することが望ましい。その細胞膜にオメガ3の油が適度に含まれることで、細胞膜全体の柔らかさにつながり、栄養が吸収しやすくなったり、老廃物を排出しやすい細胞膜となる」と、オメガ3の油は細胞膜を柔らかくし、栄養の取り込みをスムーズにしてくれるという。「逆に、オメガ3が不足し、細胞膜の脂質のバランスが乱れると、門番の機能が低下して、細胞が本来の活動を行いにくくなる。どんなに身体に良いものを食べていても、細胞膜のはたらきが良くなければ、体内の栄養素をうまく細胞内に取り込めず、余分な老廃物も排出しづらくなってしまう。細胞膜がしっかりと機能して細胞の門番となってはたらいてくれるには、細胞膜を構成する成分である良質な脂質、オメガ3とオメガ6をバランスよく摂取することが重要になる」と、オメガ3の油が不足すると細胞膜の機能が低下してしまうのだと指摘する。

 「人間の脳の約65%は油でできており、脳が正常に動くには、脳の脂質のバランスを良くする必要がある。脳は体の中でもオメガ3が一番多い臓器で、オメガ3には、脳の神経細胞やシナプスの柔軟性を上げて、記憶力や思考力を高めるなど、脳の機能を改善する働きがある。オメガ3とオメガ6のバランスが崩れると脳の機能が低下し、さまざまな脳の不調が症状が現れる。特にオメガ3が不足すると、気分の落ち込みや強い不安感、ストレスを感じやすくなってイライラする、物忘れがひどくなるなど、正常な判断ができなくなることがある」と、不安やうつ、キレやすい、集中力が続かないと感じている人はオメガ3の油が足りていない可能性があるという。「オメガ3には、精神の安定性以外にも、血液サラサラ効果、ダイエットや腸内環境改善・筋肉維持、妊活・赤ちゃんや子どもの脳力アップ、乾燥肌・髪のパサつき・ドライアイ予防、免疫機能の改善、ホルモンバランスを整えるなど、たくさんのはたらきを持つことがわかってきている」と、さまざまな体の不調改善にも期待できるのだと訴えた。

 オメガ3の油を効果的に摂取する方法について、守口先生に聞くと、「魚にはオメガ3が豊富に含まれているが、調理に手間がかかるなど、毎日食べるのは難しいという人には、アマニ油・えごま油などによるオメガ3の摂取をおすすめする。魚介類にはEPA・DHAの形でオメガ3系脂肪酸が含まれているが、アマニ油・えごま油でオメガ3を摂取すると、有効成分のα-リノレン酸が体内に取り込まれ、その一部がEPAからDHAの順に変換される。EPAには、血液をサラサラにする効果と抗炎症作用が期待されている。DHAは、細胞膜を柔らかくするのに特に大切な成分で、脳機能・視覚機能を維持・改善する作用がある」と教えてくれた。

 「オメガ3の油は、体内で合成できない必須脂肪酸のため、一生にわたり、普段の食事から摂る必要がある。毎日小さじ1杯をきちんと摂ることで、体は少しずつ変化していく。まずは約1ヵ月程度を目安に肌のツヤを見てほしい。脳への影響は約半年ほどかかるが、摂り続けることですべての細胞・臓器にオメガ3が行きわたるので、確実に手ごたえを感じるはず。なんとなくの不調だけでなく、疾病発症の予防と共に、若々しく健康でいるためにも、オメガ3の“細胞を元気にする手助けをする”はたらきを知って、毎日の食生活から健康づくりを心がけてほしい」と、良質なオメガ3の油を毎日スプーン1杯摂ることで、細胞から元気にしていってほしいと述べていた。


このページの先頭へ