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2012年02月03日

3月1日から8日の「女性の健康週間」に向けてセミナーを開催、注目の「不育症」など女性特有の疾患を解説

 3月1日から8日は女性の健康週間だ。産婦人科医が女性の健康を生涯にわたり総合的に支援することを目指し、3月3日のひな祭りを中心に3月8日の国際女性の日までの8日間を「女性の健康週間」と定め、日本産婦人科学会、日本産婦人科医会の共催で2005年にスタート。女性が生涯を通じて健康で明るく、充実した日々を自立して過ごすことを総合的に支援するために、国や地方公共団体、関連団体が一体となって様々な活動を展開している。1月26日には、この活動を通じて、女性が気軽に産婦人科を訪れ、自分の健康への関心を高め、知識を得て、より健康に幸せになることへの喚起を目的にプレスセミナーが開催された。

 
 各講演の前に、亀田メディカルセンター主任産婦人科部長 日本産婦人科学会 男女共同参画・女性の健康週間委員会副委員長の清水幸子先生が「女性の健康週間」について説明した。「女性の健康週間のシンボルマークは“women”のWをモチーフにしたデザインを採用。3つの丸には母娘3代を意味し、女性の体だけでなく頭、そして心の問題を表している。産婦人科医が女性の生涯の健康を総合的にサポートする姿勢をマークにした」と、シンボルマークについて解説。

 「今年の主な活動は、女性の生涯手帳の作成・配布や一般女性を対象に、東京と名古屋でイベントを開催する。また、地方学会主催の市民講座も開催する」と、多くの女性に健康への関心や知識の向上を促していく考えだ。「女性の健康週間を中心にイベントを予定しているが、この期間に限らず、年間を通じて様々な活動を行っていく」と、生涯にわたって女性の健康を支援していくことを誓った。

 そして、日本医科大学産婦人科教授 男女共同参画・女性の健康週間委員会委員長の竹下俊行先生が、妊娠するものの流産や死産を繰り返し生児が得られない状態の「不育症」について講演を行った。「最近、不育症が注目を集めている。不育症の治療法であるへパリン療法を保険適用にする動きが国会で議論された。また、不育症に関する相談窓口を設置すると、小宮山厚生労働大臣が宣言。相談用のマニュアルを現在、急ピッチで作成している」と、国も不妊症と並んで解決しなければならない問題として、重い腰を上げつつあるようだ。

 「不育症の発症率はどのくらいに達するのかなどについて、詳しい数値などはない。しかし、流産の確率は15%といわれている。流産の60%~70%は受精卵側に原因があるとされており、このうち反復流産の確率は5%、習慣流産の確率は1%と見積もる人もいる」と、流産を経験した人のうち不育症になる割合など、この病気の患者数などの実態はよくわかっていないのが現状だ。「不育症の原因は多岐にわたる。関連性が高いといわれているのが、抗リン脂質抗体症候群や子宮形態異常、夫婦染色体異常などが挙げられる」と、様々な原因が要因とみられているようだ。「ある統計によると、抗リン脂質抗体症候群が不育症リスクが最も高いというデータもある」と話していた。

 「抗リン脂質抗体症候群とは、抗リン脂質抗体という自己抗体ができてしまい、血栓症や習慣流産などの産科合併症を引き起こす疾患。原因は不明で、家族性は証明されていない。抗リン脂質抗体をもっていても流産しないケースもある」とし、原因の解明にはまだまだ時間を要するようだ。「抗リン脂質抗体症候群の診断は、初期流産を3回以上繰り返す習慣流産か、妊娠10週以降の胎児死亡・死産か、などを診る」と、臨床による所見を紹介。「治療の基本は血栓症予防となるので、血液をサラサラにする目的で低用量アスピリンを投与する。サラサラにしすぎても悪影響を及ぼすため、妊娠10週前に投与をやめる」とのこと。「アスピリンの安全性については、催奇形成などの問題もなく、概ね安全に使用できる薬であるという報告もされている」と、不育症治療には低用量アスピリン療法がファーストチョイスとされているようだ。「しかし、低用量アスピリン療法は動脈血栓の治療に限られる。そこで、静脈血栓の治療としてヘパリン療法を併用するのが有効とされている。アスピリンだけだと妊娠成功率は44%。だがヘパリン療法を併用すると80%ぐらいにまで成功率が高まる」と、具体的なデータを示しながら解説してくれた。

 「ヘパリンは半減期が短いため、1日2回の注射が必要になる。また、妊娠反応が出たら、すぐに打つ必要がある。単純に妊娠5週から40週まで投与となると、490回の注射が必要になる。経済的にも肉体的にも負担が大きい」と、注射回数に比例して料金もかさむことが大きなネックになっているようだ。「そこで、政府はヘパリン療法について保険適用にした。しかし、自分で注射を打つ自己注射は対象外だった。これも保険適用にすべきであるという機運が高まり、保険が効くようになった」と、経済的な負担は軽減されるようになってきたようだ。「とはいえ、ヘパリンはすべての不育症に効くわけではない。ごく一部でしかない。保険適応となる症例は、さらにその一部となる」と、不育症全体で考えると、まだまだこの病気で悩む人を支援する制度がしっかり整備されているとは言い難い状況であると、竹下先生は話していた。

 「ヘパリン在宅自己注射療法は、適応を吟味し安全管理を遵守すれば、患者負担を軽減し、生活の質を向上することができる治療法だ。しかし、それを怠ると重篤な危険に直面する可能性もある。十分な患者教育と適切な管理が可能な施設での治療が望まれる」と、警鐘を鳴らす。「しっかり診断し、治療すれば不育症であった人の85%は無事出産する。リスクばかりでなく、このこともきちんと理解して欲しい」と、適切な施設と治療を行っていれば、流産・死産という苦しみから解放されるとも竹下先生は述べていた。

 次に、東京慈恵会医科大学 産婦人科講師 こころとからだの元氣プラザ 診療部長、男女共同参画・女性の健康週間委員会委員の小田瑞恵先生が、子宮頸がん予防ワクチンに期待される効果や今後の子宮頸がん予防について解説した。「子宮がんは、子宮体がんと子宮頸がんの2種類ある。子宮頸がんは30代の発症が最も多く、年間約8000人が罹患し、約2400人が死亡している」とのこと。「子宮頸がんは2000年から増えており、とくに20代の発症率が急速に増加している」と、子宮頸がんの低年齢化が深刻化してきていると小田先生は警告する。

 「子宮頸がんは、発がん性ヒトパピローマウイルス(以下、HPV)の感染で発症する。このHPVは主に性交渉で感染する」と、子宮頸がんはその原因が特定されているがんであるとのこと。さらに「発がん性HPVは約15種類あるが、日本の子宮頸がんは16型、18型が原因である割合が高く、全体の6割を占める」と、遺伝子型まである程度特定できているという。「性経験があると、一生に一度はHPVに感染する。ただし感染しても陽性化する」と、ほとんどは女性の体に害をあえず、正常細胞化してしまうと説明。「HPV感染は風邪のようなもの。みんな感染するし、一過性で自然消失する」と、特殊な性行動をイメージするものではないと小田先生は強調していた。

 「子宮頸がんは、検診を受診し、早期発見・早期治療であれば治る病気」と、定期的に検診をしていれば、決して恐ろしい病気ではないという。「そして、これまで早期発見・早期治療が予防法だった子宮頸がんを、ワクチンによって予防することができるようになった」と、ワクチンで予防できる唯一のがんであると話していた。「予防ワクチンは、16型、18型の発がん性HPVの感染を防ぐワクチン。現在2種類存在し、サーバリックスは16型、18型の他に、他の遺伝子型にも有効性が確認されている。一方、ガーダシルは性感染症である尖圭コンジローマの予防効果がある」と、それぞれメリットがあるので、その点を理解してワクチンを接種するとよいとアドバイスしていた。

 「基本的にワクチンの接種は性交前の女性が対象。思春期がベストとされている。性経験女性でも20代前半であれば、積極的な接種がよいとされている。再感染を防ぐというメリットがあるからだ」と、若年女性の積極的なワクチン接種を呼びかけていた。「接種後の副作用についても、他のワクチンを接種した際に生じる症状がほとんど。メディアをにぎわせた、子宮頸がんワクチン接種後の失神例についても、他のワクチンを接種した場合と率は変わらない。痛みへの恐怖を取るなどの対処法で防ぐことは可能だ」と、インフルエンザワクチンの接種時などと同等と考えて良いと話していた。

 「このワクチンは世界中で接種されている。もちろん検診も必要で、子宮頸がん予防のためには、ワクチンと検診をセットにして考えるべき。子宮頸がんは予防できる。それだけに、ワクチン接種率が上昇すれば、子宮頸がんという病気自体を過去の病気にすることもできるだろう」と、子宮頸がんの撲滅も可能であると小田先生はワクチン接種や検診率向上に期待を寄せていた。

[女性の健康週間 概要]
主唱:日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会・厚生労働省
実施期間:3月1日(木)~8日(木)
メインテーマ:「産婦人科医は、女性を守りつづけます。-生涯主治医がいる安心を-」

日本産科婦人科学会=http://www.jsog.or.jp/
日本産婦人科医会=http://www.jaog.or.jp/



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