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2011年12月21日
ヤンセンファーマ、在日米国商工会議所の調査から疼痛による経済的損失が約3700億円になることを受けて慢性疼痛の治療や実態に関するセミナーを開催
ヤンセンファーマは、疼痛(とうつう)の実態とその経済的損失を把握すべく、在日米国商工会議所(以下、ACCJ)ヘルスケア委員会が実施した、日本全国5000人を対象の意識調査に協賛した。調査では疼痛部分について、仕事や日常生活への影響などを質問項目に設定した結果、疼痛による経済的な損失は約3700億円にのぼるとの試算が見出された。これを受けて同社では、12月8日に日本の慢性疼痛と治療の実態などに関するメディアセミナーを開催した。
慢性疼痛は、「治療に要する枠組みを超えて持続する痛み(国際疼痛学会)」と定義されているが、慢性疼痛の原因となる代表的な疾患としては、腰痛症、変形性関節症、関節リウマチ、骨粗しょう症、帯状疱疹後神経症、糖尿病性神経障害などがある。最近公表された疫学調査によると、日本では2200万人もの人が関節の痛み、肩・腰痛など慢性の痛み(慢性疼痛)に悩んでいるとされる。
そこで、まずACCJヘルスケア委員会のブルース・エルズワース副委員長が、「最新調査から見た疼痛治療の現状と海外事例との比較」と題した講演を行った。「米国では、2003年に発表された調査によると、疼痛患者の経済的負担は年間2258億ドルで、その7割が職場における生産性の低下であることがわかった」と、疼痛によって経済的負担が増大する人は多いと指摘する。「この結果を受けて、国レベルで疼痛対策に力を入れ始めている。これを裏付けるように、米国では疼痛の研究に対して予算が設けられた」と、政府が疼痛に対して真剣に取り組んでいるのが米国であると強調する。「日本でも疼痛による社会・経済的負担が顕著に見られ始めたため、1億3000万円の科研費が盛り込まれ、実態調査が行われた」と、日本でも疼痛がもたらす問題などを浮き彫りにする試みが行われているようだ。
「この動きに平行して、ACCJでも日本における疼痛治療の現状を把握すべく、今年の秋にWEB調査を実施。様々な疾患を調査し、疾患ごとの経済的負担を調べた。その結果、仕事をする能力や生産性に最も大きな影響を及ぼした健康問題は疼痛であった」と、疼痛によって仕事が思い通りにいかなかったとする人は多数派を占めたとのこと。「日本での病気による経済的損失は、年間で3兆3600億円と試算。このうち疼痛は3700億円に達した」と、日本でも病気による経済的損失が莫大な金額であると同時に、疼痛がその大きなウエイトを占めていることが明らかになった。
「治療を受けている疼痛患者のうち65%は、その治療法に満足していないこともわかった。効果的な新しい治療法が必要であると感じている患者は7割に達した」と、有効な治療を受けられず、慢性化してしまっている患者が多いことも明らかになった。「疼痛によって気分が落ち込んだり、買い物や家事ができなくなったりと、日常生活に悪影響が出ている。それだけに、疼痛が改善されれば生活の質が向上することはもちろん、経済的競争力も高まるものと考えられる」と、疼痛を改善することがいかに重要であるかをエルズワース副委員長は語っていた。
続いて、大阪大学大学院医学系研究科 疼痛医学寄付講座 教授の柴田雅彦先生が、「日本における疼痛治療の現状と取り組み」について講演を行った。「日本では、慢性的な痛みの対策について、欧米諸国に比べて遅れをとっている」と、疼痛に対する認識が確立されていないのが現状だという。「これを裏付けるように、疼痛で診療所や病院へ行くと、医師個人の判断で対応がまちまちというのが一般的になっているようだ」と、統一された診断モデルなどもないという。「医師が疼痛に対してどのように対処しているかを調べた結果、診療満足も治療満足も低いことがわかった」と、患者と医師双方とも満足度が低いのだとか。「患者は納得のいく治療が受けられないので、様々な医療機関を回るドラッグショッピング状態に陥る」と、悪循環に陥ってしまうのが疼痛患者であると指摘する。
「痛みは、形となって現れないだけに対応が難しい。また、痛みを取ることに対する罪悪感の文化も日本にはある。さらに、縦割りの医療システムも問題点として挙げられるのではないか。集学的医療が育ちにくく、医師以外の医療者の教育レベルの向上がしにくいということもいえる」と問題点を列挙。「治療法に対する独自の認可制度によって、使用可能な治療法が限定されてしまう」ということも指摘していた。「そこで、平成21年12月から平成22年6月まで、慢性の痛みに対する検討会を厚生労働省が主催となって行った。そして、医療体制の構築、教育・普及・啓発、情報提供・相談体制の確立が提言された」とのこと。「平成23年度には厚生労働省科学研究費として予算も割り当てられた。企業に協力を仰ぎ、医師への再教育や啓蒙活動などを行っている」と、慢性疼痛について患者と医師の相互の理解が深まるような活動を行っているという。
「慢性の痛みは、医師と患者の1対1の関係では成り立たない。慢性の痛みに対する医療の発展には、形のない“痛み”というものをどのようにするか、みんなで考えていく必要がある」と柴田先生。「今後3年間で、今の取り組みを形にしていく必要がある。また、ペイセンター設立に向けての準備づくりや普及活動、教育も大切であると感じている」と、今後の具体的な計画を指し示してくれた。
ヤンセンファーマ=http://www.janssen.co.jp/
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