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2010年06月07日

サノフィ・アベンティス、糖尿病の診断基準改定とその影響などを説明するメディアフォーラムを開催

 サノフィ・アベンティスは、今年7月1日に糖尿病の診断基準が改定されることを受け、「糖尿病の診断基準改定とその影響について ~HbA1cの導入がもたらすベネフィットとは~」と題したメディアフォーラムを6月4日に開催した。メディアフォーラムでは、関西電力病院 院長で糖尿病診断基準検討委員会の委員長を務める清野裕先生を招き、診断基準の改定内容とその背景、また改定による影響などについて講演が行われた。

 7月1日に施行される糖尿病の診断基準改定は、5月27日に開催された日本糖尿病学会年次学術集会において正式決定されたもの。日本における糖尿病診断基準の改定は、11年ぶりになるという。今回の改定では、血糖値に関する診断基準は堅持しつつ、これまで補助的役割であったHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を血糖値と同様に診断基準の一つとして採用し、診断基準値を従来の「6.5%」から「6.1%」に引き下げる。また、これを機に、国際標準化された新しいHbA1c値への移行を推進するという。あわせて、妊娠糖尿病の定義と診断基準も変更されるとのこと。

 「日本では、内臓脂肪の蓄積によるメタボリックシンドローム(以下、メタボ)の予防が重視されているが、メタボが原因で糖尿病を発症する患者は全体の40%で、非メタボの糖尿病患者が60%を占めているのが実状。また、日本人の糖尿病患者における心臓血管系疾患の発現数を8年追跡した調査によると、メタボ型でも非メタボ型でも発現数に大きな差はなかった。さらに、日本医療データセンターによるメタボ診断の調査から、BMI別に、血糖・脂質・血圧のいずれかに異常がある人と健康な人との心臓血管系疾患の発症率を調べたところ、“標準”は3.4倍、“肥満”は3.1倍とほぼ変わらないのに対して、“やせ”は5.0倍と発症率が高かった」と、日本においてはメタボの予防だけでは糖尿病、および心臓血管系疾患の発症は防ぎきれないと指摘する。

 次に、世界の糖尿病事情について触れ、「国際糖尿病連合が3月に発表した世界の糖尿病人口は、2010年に3億3000万人に達し、2030年には5億人を上回ると予測している。その中で、日本・アジアを含む西太平洋地区は1億2670万人。世界各地区で1億人を超えているのは西太平洋地区だけであり、この地域に世界の糖尿病患者の4割が集中している」と、アジア地区は世界でも糖尿病になりやすい地域とのこと。そして、アジア地区における糖尿病の特徴として、「非肥満型の糖尿病患者が多い」、「最近5年間で急激に患者数が増加している」、「30代の若年層で有病率が高い」ことをあげた。

 
 清野先生は、これを“アジア型糖尿病”と呼び、「とくに日本人は、米国白人に比べて、インスリンの働きが優れている一方で、国民全体でインスリンを分泌する能力が低く、インスリン抵抗性も米国白人の半分程度であることがわかっている」と、体質的な特性が大きく影響しているという。その上で、「急速な経済発展や都市化によって、エネルギーの高い食品が入手しやすくなった」、「生活習慣の欧米化が急速に進んだ」ことも、アジア地域で糖尿病患者が増えている背景にあると説明した。

 こうした現状を受け、日本糖尿病学会では、糖尿病の診断基準を見直す必要があると判断。今回、従来まで補助的診断基準であったHbA1cを、より上位の診断基準として採用することを決定した。HbA1cは、食事や運動に影響されず、過去約1、2ヵ月の血糖値の平均的な状況を反映するため、慢性的な高血糖状態を評価するのに優れているという。「HbA1cを診断基準に追加することで、血糖値とHbA1c値を1回の検査で調べるだけで、糖尿病と診断することができる。これにより、メタボにかかわらず、隠れ糖尿病や糖尿病予備軍の患者を発見しやすくなり、早期発見・早期治療が可能になるとともに、合併症の予防にもつながる」と、診断基準を改定することのメリットは大きいと強調する。

 診断基準の改定にともない、HbA1cの診断基準値も従来の「6.5%」から「6.1%」に変更することになるが、これについて清野先生は、「HbA1cを診断基準として採用するにあたって、従来の診断基準値6.5%は高すぎる値だった。そこで、日本における診断データを利用して、網膜症の出現や血糖値の診断基準値との関連性に基づき検討した結果、6.1%が妥当であると判断した」と解説してくれた。

 もう一点、診断基準としてHbA1cを採用するにあたって問題となったのが海外の診断基準との整合性だったという。「現在、日本ではHbA1cの診断値にはJDS値が使われている。しかし、日本以外の世界各国では米国基準のNGSP値が使用されている。そのため、薬剤の臨床開発など国際共同研究の場に、日本は参加することができていない。この状況を改善するためにも、早急にNGSP値との整合性をとる必要があった。今回の診断基準の改定を機に、従来のJDS値に互換値となる0.4を加え、NGSP値に相当する新たなHbA1c値への移行を推進することを決めた」と清野先生は説明する。

 つまり、診断基準の改定後は、HbA1cの診断値が0.4増えることとなり、新たに設定された診断基準値もJDS値の「6.1%」から、NGSP相当値の「6.5%」と表記されることになる。ただ、NGSP相当値への移行については、施設や患者の混乱を避けるため慎重に進めていく考えで、「学術誌や国際会議などでは、7月1日からNGSP相当値に移行するが、臨床現場においては十分な周知が必要であるため、当面の間は従来通りJDS値を使用していく。そして、日本糖尿病学会が別途告示する日時をもって、臨床現場でもNGSP相当値に切り替える予定」としている。

 最後に清野先生は、「今後、日本糖尿病学会では、関連学会と協力するとともに、マスメディアなどを通じて、糖尿病の新しい診断基準の普及に力を注いでいく。とくに、新たな診断基準を一般に広く浸透させるためには、メディアとの協力が非常に重要になる」と、今回のセミナーに参加した各メディアに向けて、糖尿病診断基準の改定に関する情報を積極的に伝えていって欲しいと訴えた。

サノフィ・アベンティス=http://www.sanofi-aventis.co.jp/
日本糖尿病学会=http://www.jds.or.jp/

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