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2008年04月17日
カネボウ化粧品、原種「テッポウユリ」の花の香りを解明し再現することに成功
カネボウ化粧品・製品開発研究所は、東京大学・大場秀章名誉教授の指導のもと、従来ほとんど研究がされていなかった原種「テッポウユリ」の花の香りを研究、その優れた香気を解明し、再現することに成功した。今回再現に成功したテッポウユリの瑞々しい香りは、「ラリックに咲いたシーボルトの和の花」企画展(箱根ラリック美術館・4月19日~9月23日開催)で散布、テッポウユリをモチーフにしたラリック作品の鑑賞とともに試香することができる。
日本列島が花の宝庫であることは、意外に知られていない。日本には、現在、世界で流通している花々の原種が数多く存在している。また、江戸時代から園芸栽培も盛んで、欧米に比べ花の園芸品種の多様性にも秀でていた。江戸時代後期(1800年代初め)に来日したシーボルトは、その花の多様性に感嘆し、各種花々の種子や球根などをヨーロッパに持ち帰っている。
その代表的な花がユリだ。今、世界の花市場では白いカサブランカなど数多くのユリの園芸品種が出回っている。これらのユリはヨーロッパが原産と思われがちだが、実はいずれも日本産。シーボルトによってヨーロッパにもたらされた植物の中に、テッポウユリやカノコユリ等があり、それらが瞬く間にヨーロッパ中の園芸世界を席巻したのだ。さらにヤマユリなども加わり、それらを親に様々な交配が行われ、現在の多くの園芸ユリが生まれた。目を見張るほど華やかで多様な園芸ユリの今日は、日本のユリあってこそのものだったのだ。日本のユリは、ヨーロッパやアメリカで行われた交配などで立ち姿を変え、カサブランカなどとなって、今また日本に戻ってきたというわけだ。
日本からもたらされたユリの中でも、特にテッポウユリはヨーロッパで圧倒的な人気を博した。昔からヨーロッパでは、純白の清純なイメージから、キリスト教の宗教儀式には白ユリであるマドンナリリーが多用されていた。しかし、テッポウユリがヨーロッパにもたらされるやいなや、マドンナリリーに取って代わっていった。テッポウユリの花のもつ凛とした純白の美しさや清純な香りに加え、早咲きさせることができたり、花が長持ちするといった特性も重宝されたのだろう。今では、テッポウユリやその改良種はヨーロッパを代表する花にまでなっている。しかし、テッポウユリの香りに関しては、詳細な研究はほとんどされていなかった。カネボウ化粧品では、これまでカノコユリをはじめ、数種のユリの香りを研究してきた実績があるが、今回、テッポウユリの香り研究に着手、その香りを再現することに成功した。
テッポウユリ(Lilium longiflorum)は日本の南西諸島が原産のユリ。4月~6月にかけて、10cm程度の細長い純白の花を横向きにつける。花は一日中開花しているが、昼間は微かな香りか、または殆ど香りがしない。しかし、夜になると香りは次第に強くなり、芳醇な花の香りを放ち始める。暗がりの中でも芳香によってその存在を明確に特定できるほどだ。そこで、カネボウ化粧品では、花を傷つけずにそのまま香りを採集することができるエコロジカル・アロマ法(花が実際に咲いている状態で、特別な機材等を用い、花から発せられる香気を集めて調べる方法です。カネボウ化粧品ではすでに1980年からこの方法の開発・使用に着手し、これまで改良を重ねてきた)を用い、テッポウユリの花の香りを昼夜それぞれ採集し、比較した。
その結果、香り成分の幾つかは昼間にも生成されているが、夜になるにつれ、次第にテッポウユリの特徴的な香りが生み出され、香りの強さも増すことがわかった。真夜中になると、瑞々しいグリーン調の中にも、アーモンドやアップルなどのフルーティなミント様の特徴的な香りが多く生成され、芳醇な香りになるのだ。これは、他のユリにはない非常に珍しい香りの構成であるといえる。おそらくこれらの特徴的な香り成分が、夜間、花に昆虫などを誘引していると考えられる。特に、咲き始めたころのテッポウユリの夜の香りには、この特徴的な香りがより強くでていて、他のユリにはない瑞々しさを醸し出していることもわかった。これら発見された特徴的な香り成分を用いることで、テッポウユリの香りを再現することに成功した。
今回、箱根ラリック美術館で4月19日~9月23日まで開催される「ラリックに咲いたシーボルトの和の花」企画展(東京大学・大場秀章名誉教授監修)で、このテッポウユリの香りを散布する。同企画展では、植物をモチーフにしたラリック作品の数々と、シーボルトの植物標本、明治期に海外向けに製作された日本の花カタログ等をあわせて展示。テッポウユリ、ウメ、フジをモチーフにしたラリック作品が展示され、その作品の鑑賞とともにそれぞれの花の香りを試香することができるという趣向となっている。特にテッポウユリの香りは、咲き始めた直後の、真夜中に香る瑞々しい花の香りとなっている。
カネボウ化粧品=http://www.kanebo-cosmetics.co.jp/
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