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2006年12月27日

花王、高野山・熊野地方を代表する自然の香りを分析

 花王香料開発研究所は、和歌山県環境衛生研究センターと共同で、和歌山県高野山(和歌山県北東部にある1000m前後の山に囲まれる真言宗の聖地)・熊野地方(和歌山県西牟婁(むろ)郡から三重県北牟婁郡にかけての地の総称)を代表する自然の香りを分析した。


 その結果、この地方を代表する樹木「コウヤマキ(高野槙)」(高野山に多く産する。日本特産のスギ科の常緑高木)、「トガサワラ(栂椹)」(日本特産で紀伊半島と四国のみ分布。マツ科の常緑針葉樹)が発する爽快な香りのキーとなる成分として、「ライムにも含まれる柑橘系の香り成分」が重要なことを明らかにした。また、世界遺産に指定された「熊野古道」の深い森の香りのキーとなる成分として、「針葉樹が発する清涼な香り成分」が重要なことを初めて確認した。

 嗜好性や快適性、消臭などのさまざまな効果・効能をもつ香りを開発する中で、自然の香りを香料創作のヒントにすることは重要だと指摘する。そこで花王では、これまで花や果実が発する香りの分析をはじめ、日本の自然を代表する屋久島や上高地などの環境中の香り解析などを継続している。

 空気中にただよう香り成分の分析は、空気を吸引し吸着剤に香り成分をトラップして分析。従来の香り分析方法では、大気中の水分の影響などから大気の採取量が数L(リットル)~数十Lが限界だったという。しかし大気中の香り成分は非常に微量なため、この採取量では成分の正確な同定・定量は困難だと指摘。そこで花王では、大型の吸着管により数百~数千Lの大量の大気を採取できる大量濃縮法を開発したという。これによって、pptレベル(1ppt:1兆分の1。大きさでいうと、東京ドームの中の角砂糖1個分)の自然の香りの分析が可能になったとする。

 今回の調査対象は、和歌山県高野町・熊野地方を対象とした。高野山・熊野地方は、香り風景指定地区として認定され、高野六木(ヒノキ、アカマツ、スギ、モミ、コウヤマキ、ツガ)や「トガサワラ」などを代表に多種の樹木が存在。また2004年には紀伊山地の霊場と参詣道として世界遺産にも指定されている。高野町では、環境省が主催する「香り百選」の定期フォーラムが2004年9月に開催された。

 以上の点から、和歌山県環境衛生研究センターと共同で、この地域を代表する香り分析を実施し、この地域に特徴的な樹木として「コウヤマキ」と「トガサワラ」、代表する環境として「熊野古道」の香りについて検討したという。なお「コウヤマキ」は、今年9月、悠仁親王のお印となっている。

 今回の研究の成果は以下の3点。高野六木の一つ「コウヤマキ」は、非常に爽快感の高い香りがすることが知られている。この香りのキーとなる成分として、「ライムにも含まれる柑橘系の香り成分」、「深みのあるグリーンな香り成分」を見出した。

 紀伊半島の希少な樹木「トガサワラ」は、爽快感と薬効感のある香りで知られている。この香りのキーとなる成分として、コウヤマキと同じ「ライムにも含まれる柑橘系の香り成分」、「赤ジソに含まれる薬効感のある香り成分」を見出した。

 「熊野古道」の深い森の香りには、針葉樹の香りが森の香り形成に重要な役割を果たしていることを初めて確認。これまで森の香りとして成分が確認されていたのは、主に草花が発する「薬効感のあるモノテルペン類」だけだが、針葉樹が発する「清涼感の強いセスキテルペン類」が新たに確認された。

 同研究は、創立50周年記念大会 香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会(2006年11月10~12日、横浜)で発表。同成果は、自然の香りを訴求した商品開発に応用していく考え。

香りの採取と分析[図]

花王=http://www.kao.co.jp/


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