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2010年05月21日

日本脳卒中協会とファイザー、脳卒中の予防啓発の重要性をアピール

 日本脳卒中協会とファイザーは5月19日、秋田県井川町の脳卒中予防啓発活動の事例紹介や日本脳卒中協会が取り組んでいる市民啓発の活動内容を報告するプレス向けセミナーを開催した。

 初めに、国立循環器病センター名誉総長で日本脳卒中協会の山口武典理事長が、日本脳卒中協会の活動状況を報告した。「啓発活動として、脳卒中市民シンポジウムや市民講座の開催の他に、脳卒中に関する相談会や体験記を表彰することも行ってきた。さらにマスメディアを通じた告知も行っている」と、脳卒中に関する正しい知識の普及について様々な角度からアプローチしているという。「市民公開講座を開催すると、多くの人が来場し知識を深めてもらっている。しかし、こうした市民講座やシンポジウムに来ない人へ訴えていくことが今後の課題ともいえる」と、脳卒中の正しい知識を取得したい意欲的な人以外への啓蒙活動が脳卒中発症の減少には不可欠であると述べていた。

 「毎年5月25日から31日を脳卒中週間と定め、疾患啓発活動を行っている。活動当初は表現が制限されたパンフレットやポスターで啓発せざるを得なかったが、2009年から、脳卒中であると疑われる症状がみられたら、“救急車を呼ぶ”という表現が可能になった。これも脳卒中という病気について考える人が増えたからだと認識している」と、毎年の積み重ねが、脳卒中に対する意識の芽生えにつながっているという。「とはいえ、脳卒中の危険因子がどんなものであるか、脳卒中の具体的な症状は何か、などを正確に理解している人は少ないということも調査結果からわかっている」と、脳卒中に対する正しい情報の提供を今後も続けていく考えを示した。

 脳卒中治療には、現状の法律ではクリアできない問題点もあるという。そこで日本脳卒中協会では、脳卒中対策基本法の制定に向けてアクション活動を行っている。この経過報告を、中山クリニック院長で日本脳卒中協会の中山博文専務理事が発表した。「脳卒中は、発症3時間以内にt-PA治療を開始する必要がある。このt-PA静注療法を普及させるための法律が必要になる。具体的には、救急受診を促す継続的・全国的な市民啓発や脳卒中救急搬送計画の策定、t-PA静注療法を実施できる医療機関の把握などが挙げられる」と、脳卒中の場合、発症してから治療開始までの時間が限られているだけに、様々な分野から協力が得られる法律が必要だと訴える。

 「脳卒中対策検討特別委員会を設置し、医師だけでなく各方面の団体などにも参加してもらい議論を重ねてきた。また、各政党から議員に参加してもらい、脳卒中対策基本法の立法化を推進する協議会も行っている。そして、今年4月には民主党脳卒中対策推進議員連盟を発足した」と、脳卒中対策基本法の制定に向けて政治家への働きかけに余念がないという。「今後は、全国的署名活動の展開や議員への請願署名の提出などを行い、厚生労働省における審議、そして本会議における審議にまでこぎ着けたい」と早期制定に意欲を見せていた。

 また、民主党脳卒中対策推進議員連盟の幹事長を務める石森久嗣議員が挨拶した。「私は議員という立場の他に、医師でもある。それだけに、脳卒中に対して、どうにかしなければという気持ちを思っている。脳卒中の対策は、救急態勢の整備やリハビリなど多岐にわたっている。来年の議員立法化を目指して、国民の脳卒中に対する意識を高めてもらい、この国民病撲滅に力を注いでいきたい」と、脳卒中対策基本法の早期制定に向けて努力していくことを誓った。

 脳梗塞の急性期治療として、t-PAを用いた経静脈的血栓溶解治療が導入され、生命予後、機能予後が劇的に改善するようになった。t-PA療法の実施は発症3時間以内に限られているだけに早期受診が必要になるのだが、そのためには、国民が脳卒中の初発症状を認識し、すぐに救急車を呼ぶという行動が重要となる。そこで、国立循環器病研究センター 予防健診部部長の岡村智教先生が、大規模市民啓発の事例を紹介し、市民の意識の変化について講演を行った。

 「秋田市、呉市、静岡市を対象にキャンペーンを開催した。このキャンペーンの前後でどのように市民の意識が変化したかを探った。キャンペーンでは、秋田市を強度介入地区、呉市を軽度介入地区、静岡市を全く介入しない対照地区とすることで、啓発方法による市民の意識の違いも探った」と、調査概要を説明。「軽度介入地区では、対照地区と比べて、発作時症状に関する知識向上に効果が認められなかった。強度介入地区では、対照地区および軽度介入地区に比べ、発作時症状に関する知識がより向上した。以上の点から、チラシや小冊子の配布などによるキャンペーンを重点的に行えば、発作時の症状の知識を向上させられることがわかった」と、キャンペーンによる告知で脳卒中について理解させることができるようだ。

 「しかし、同時期にACの新聞広告キャンペーンも行われていた。その結果、マスメディアによる情報提供は、チラシや小冊子の重点配布による強度介入と同程度の効果が得られることがわかった」と、マスメディアとうまく融合させることができたら、キャンペーンを重点的に行わなくても知識向上が図れる可能性も考えられるとのこと。「NHK岡山放送局の協力を得て、朝、夕方、夜の3回スポット放送を実施。さらに、毎週水曜日の午後7時のニュースで特集を放送するなどのキャンペーンを行った。現在解析中だが、キャンペーン前と後の比較の他に、対照地域として呉市を設定し、違いも見ることになっている」と、メディアを使った啓発活動のモデルケースになるかどうか、その結果に注目が集まりそうだ。

 地方自治体が独自に脳卒中の啓発活動を行い発症患者の減少につながった事例も存在する。今回のセミナーでは、秋田県南秋田郡井川町の齋藤正寧町長が、同町の脳卒中予防対策について紹介してくれた。

 「井川町は秋田県の中央部に位置し、人口5650人の農業を中心とした町。昭和39年から43年ごろまでは脳卒中発生率が非常に高く、70歳以上では15%から20%近くになっていた」と、全国的にも秋田県は脳卒中の発症が高い県といわれる中で、井川町も同県の典型的な発生率を示していたという。「そこで、脳卒中の発生率減少を目的に原因を調査した結果、高血圧の人が脳卒中になる割合が高いことがわかった」とのこと。

 「高血圧の人を減らすため、昭和38年から循環器健診を開始。減塩指導などを行った結果、高血圧の人が減少していくのと比例して、脳卒中の発生率も下がっていった」と、脳卒中予防対策が大きな成果をあげたようだ。「循環器健診を受けていない人の脳卒中発生率は依然として高いだけに、夜間健診などを実施して、町民のほとんどが健診を受けるよう継続した対策と取り組みを今後も行っていく」と、脳卒中撲滅に向けてさらなるアクションを続けていく考えを示していた。

日本脳卒中協会=http://www.jsa-web.org/
ファイザー=http://www.pfizer.co.jp/

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