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2009年09月29日

持田シーメンスメディカルシステム、乳がん検診用超音波自動ボリュームスキャナの啓蒙を目的にセミナーを開催

 持田シーメンスメディカルシステムは、乳がん検診用超音波自動ボリュームスキャナ「ACUSON S2000 Automated Breast Volume Scanner」(以下、ABVS)を5月から販売開始している。このABVSの認知度向上と、乳がん検診の重要性などを訴えたプレス向けセミナーを9月29日に開催した。セミナーでは、ウィミンズ・ウェルネス銀座クリニック院長の対馬ルリ子先生が乳がん検診の重要性について、聖マリアンナ医科大学放射線医学講座の中島康雄先生が自動ボリュームスキャナの有効性などについて、それぞれ講演を行った。

 講演に先駆けて、同社マーケティング本部の大場拓也本部長がABVSの概要を紹介。「ABVSは、超音波を用いて自動で乳房のボリュームデータを収集できる装置となっている。主な利点は、医師の目線の画像が撮影可能で、高画質で見ることができるフルボリュームデータや検査者の技術の習熟度に依存しない高い再現性を実現する。さらに、マンモグラフィと同じワークフローで、プロトコル通りのデータが取得できるという標準化が可能になる製品だ」と、画期的な乳がん検査システムであると述べていた。

 
 続いて、対馬先生から「ここが問題!日本の乳がん検診」と題した講演が行われた。「日本では、20人に1人が乳がんにかかるとされている。この割合は年々増加しており、生活習慣の変化などが主な原因といわれている。また、年間1万人以上の人が乳がんで命を落とすなど、今早急な対応が求められている疾患だ」と、国内における乳がんの現状を紹介。「欧米では50代から60代にかけて乳がんを発症するリスクが高まるが、日本では30代半ばから40代にかけて急増し、50代以降も発症リスクはあまり下がらない」と、若い女性の発症が増えていることを指摘した。
 
 「乳がんの予防法はまだ見つかっていないが、早期発見であれば、約90%の人が治る病気である」と、早く見つかれば、乳房を守り、ひいては命を守ることができると説明する。「早期発見には乳がん検診を受診する必要があるが、日本は欧米に比べて受診率は低く、1割強しかない」と、乳がん検診の受診率の低さを問題点として挙げた。受診率の低さの理由については、「検診施設不足や検査者の人材不足」と、インフラ面の設備不足を挙げていた。

 一方、乳がん検診を受診したことがある人の多くは視触診とのこと。これについて対馬先生は、「視触診だけでは不十分。しこりにならないがんもあるし、しこりも大きくならないと確認できない。そこで、現在は、視触診とマンモグラフィ検診のセットでの検診というケースがほとんど」と、乳房を撮影し乳腺などの状態を画像で確認できるマンモグラフィ検診で早期発見を目指しているという。ただし、「20代から30代は超音波検診を推奨している。乳腺が厚く、若い人の乳房には有効。必要に応じてマンモグラフィ検診を受診するのがベスト」と、若年層にはマンモグラフィ検診が必ずしも有効ではないとのこと。そして、「超音波とマンモグラフィの併用の有効率を確認するために、J-Start(大規模臨床試験)がスタートした」と、今後、超音波検診のエビデンスを集めていく方針だという。

 「マンモグラフィ検診は、乳がん検診のゴールデンスタンダードとして認知度も高く、しこりになっていない微細石灰化の表現力が優れている。ただ、撮影中乳房が引っ張られるので痛みがあるのと、検査者に胸を近づけるため恥ずかしいと感じる人が多い」と、マンモグラフィ検診のデメリットを対馬先生は指摘。「その点、超音波検診はリアルタイムで痛みもなく検査ができ、被爆の心配もない」と、マンモグラフィ検診に比べ受診者に優しい検査法であるという。「しかし、超音波検診は、検査者の力量に左右されるため、がんを見逃す確率が高かった」と、標準化された検査法でなかった点をマイナス面としてあげていた。

 次に、同社が5月に発売したABVS機器の説明およびデモンストレーションを行った。ABVSは、それぞれ乳房を1~3回自動スキャンすることで、簡単にボリュームデータ取得する乳がん検診用超音波自動ボリュームスキャナ。検査者がプローブと呼ばれるスキャニング機を乳房上にくまなく走査させる従来の超音波装置と比べ、検査時間を1/3~2/3に短縮できるとのこと。また、操作性が簡単で特別な技術を必要としないことから、検査者の技術習熟度に依存せずに信頼性・再現性の高いデータを取得することができるという。

 ABVSは、約1分間の自動スキャンによって、15.4cm×16.8cmの広範囲ボリュームデータを収集することが可能。また、それぞれの乳房に1から3回ずつ施行することで、乳房全体のボリュームデータの収集もできるという。ボリュームデータを収集することで、今までの超音波検査では困難だった外科医視線の断面も高精細な画像で提供するため、腫瘍の浸潤などの診断にも貢献することが期待される。また、1回の検査の後、任意の断面を何度も構築することができ、複数の読影医のチェックを受けることもできる。

 では、このABVSの登場で乳がん検診は大きく変わるのだろうか。中島先生が「自動ブレストボリュームスキャナは乳がん検診を変えられるか」をテーマに講演を行った。「ABVSとの出会いは今から2年前の米国で、これはと思い、個人輸入して使用している」と、欧米ではすでに利用されているとのこと。「マンモグラフィ検診では、若い人の乳房は乳腺の密度が濃いため、白く見えるが、年齢とともに乳腺が脂肪に変わり、乳房が黒く写るようになる。腫瘍や石灰化は白く写るため、年齢が高い人ほど見つけやすくなる。逆に若い人は、白い中に埋もれてしまうため、腫瘍や石灰化を見落とす危険性が高まる」と、マンモグラフィ検診で撮影された映像を用いながら、若年層の乳がん発見の難しさを指摘。「マンモグラフィ検診だけでは、不十分なため、超音波検診を併用することで、約9割は見落とさずに済むというデータもある」と、マンモグラフィ検診と超音波検診の併用は早期発見には必要不可欠であると説明する。

 「しかし、超音波検診は、有効で期待できるエビデンスが少ないことに加え、撮影した人の判断で画像を保存するので、再現性に乏しく経時的変化を追うことができなかった。この点については、ABVSによって、撮影不足の解消と画像取得の標準化などが見込める」と、ABVSによる超音波検診のメリットは非常に高いと中島先生はいう。「ABVSは撮影も簡単で、冠状断によって構築の乱れがより鮮明に描出される。このため、読影方法の確立が重要になる。今後は、CADの開発や遠隔による中央読影体制も期待される」と、ABVSが新たな検診スタイルを生み出す可能性を秘めているとも説明していた。

 
 ABVSの登場で、受診率は高まっていくのだろうか。中島先生は、「実際に受診した人の多くがマンモグラフィ検診は痛みがあったと回答したのに対し、ABVSでは2割程度しかいなかった。また、次に受けたい検診は、という問いには、マンモグラフィ検診の25%に対し、ABVSは75%と7割を超える人が再受診してもよいと回答した。この結果から、ABVSを検診に有効に組み合わせることで、乳がん検診の受診率向上に貢献できる可能性がある」とみている。ABVSが、受診率の低さに悩む乳がん検診の救世主になるのかどうか、今後に注目が集まりそうだ。

持田シーメンスメディカルシステム=http://msm.mochida.co.jp/


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