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2008年09月02日
花王、現代女性の体の不調と生活行動の実態を調査、動かない生活行動によりさまざまな不調が発生
花王ヒューマンヘルスケア研究センターは、女性が経験する体の不調と生活行動、生活環境の関係を調べた。その結果、「動かない生活行動」で増える不調と「動く生活行動」で増える不調とは、種類が異なることが分かった。
今回の調査では、「動かない生活行動」で増える不調と「動く生活行動」で増える不調とは、種類が異なることが明らかになった。長時間のパソコン作業のような「動かない生活行動」が多い女性は、「肩こり、冷え症、胃腸の不調、目の疲れ、寝つきが悪い、生理痛」などの一般に「不定愁訴」と呼ばれるような不調を、動かない時間が長いほど多くの人が経験していた。反対に、体を動かす生活行動が多い女性では、“疲れ、腰や関節などの痛み”だけを、動く時間が長いほど多くの人が経験していた。さらに、ストレスや寒さなどの生活環境も、これらの不調に影響していると考えられる。
これまでの調査研究で、寒さについてはオフィス内での冷えにより年間を通じてさまざまな不調を起こすこと、通常のパソコン作業が眼の疲労を起こすことが分かっている。そこで今回は、動かない生活行動の代表であるパソコン作業を、過度なストレスを与えた状態で行った時の生理学的な影響を調べた。その結果、イスに座ったまま、動かずに長時間緊張した状態でパソコンでの反復作業を続けると、自律神経活動が低下する傾向があることを認められた。
以上から、ストレスや寒さを感じながら、長時間、緊張状態でじっと動けずに作業をすることは、自律神経に影響を与え、身体の不調につながる可能性があることが分かった。
今回の研究ではまず、20~59歳の女性2万1425人を対象に、不調の症状、各種生活行動の時間(歩行時間、パソコン使用時間、睡眠時間などを自己記入)、生活環境(寒さ、ストレスなどを感じるか)について、インターネットによるアンケート調査を行った(2007年11月)。
各種の生活行動時間について、行動の共通性をグループ化して因子を抽出する主成分分析という統計的手法を用いて解析した。その結果、「動いている時間」、「動いていない時間」、「リカバリーの時間」、「座っている時間」の4つの因子に分類した。そして、これら4因子が症状に及ぼす影響について解析した。その結果、「動いている時間」が増えると「足の疲れ、肉体疲労」のほか、「腰痛、肩の痛み、ひざの関節痛」などのよく動かす部分の“疲れ、腰や関節などの痛み”を経験する女性が増加した。また「動いていない時間」の代表的な生活行動の内容の多くは「パソコンを使用している時間」だが、「動いている時間」の増加にともなう不調に比べて、不調の種類が大きく異なることが分かった。すなわち「パソコンを使用している時間」が長いほど、「肩こり、冷え症、胃腸の不調、目の疲れ、寝つきが悪い、生理痛」などの一般に「不定愁訴」と呼ばれるようなさまざまな不調を経験する女性が増加することがわかった。さらに生活環境については、パソコン作業時間の長い女性ほど、寒さやストレスを感じている女性が増加する傾向が認められた。
パソコン作業時間が長い女性ほど、不定愁訴と呼ばれるさまざまな不調が増える理由を検討する目的で、実験室内でのモデル実験を行った。特にパソコン作業時間が長いほど、寒さやストレスを感じている点に着目した。花王はこれまでの調査研究で、オフィス内でのパソコン作業中に冷房などで体の冷えが生じると、年間を通じてさまざまな体の不調を起こすことを確認している。また、通常業務のパソコン作業を月曜~金曜日まで毎日6時間続けた実験では、週末にかけて目の疲労が増すことを確認しているが、それを超えるような長時間のパソコン作業やストレスを感じながらのパソコン作業の影響は検討していいなかった。また「疲れが取れない」、「よく眠れない」など何となく体調が悪いという自覚症状は不定愁訴といわれ、自律神経活動などの生理学的な作用が関連するといわれている。そこで、通常作業に比べ過酷なパソコン作業によるストレスを与えたときの、生理学的な影響を調べた。被験者に測定用プローブを取りつけた状態でイスに座ったまま動かず、できるだけ早く正確に英語の文章入力をするという、強い緊張状態でパソコン作業を行ってもらい、その作業中の自律神経活動低下などの生理学的測定を実施した。
被験者は、37.8±9.0歳の男性6名を、インフォームドコンセントを得て対象とした。作業内容は、「できるだけ早く正確に」という指示のもと、英語の文章を入力するという過酷な作業を30分間行った後、10分間で生理的状態を測定。これを3回連続で行う。測定項目は、心電図、血圧、脈拍数、脈圧 : 自律神経系の活動度を測定。フリッカーテストでは、点滅光の点滅を目で認識できるようになる現象によって、脳の疲労度を測定。VASはVisual Analog Scaleの略。100mmのスケール上に、左端を最も悪い状態、右端を最も良い状態として、評価項目の状態をチェックする心理的評価方法。今回は意識・気分の状態を評価するのに用いた。
その結果、心電図からは、心拍の間隔(R-R間隔)が有意(0.05>p)に広がること。最高血圧が有意(0.01>p)に低下し、最低血圧が低下せずにむしろ上昇する傾向にあること。脈圧が有意(0.01>p)に低下していることなどから、自律神経の活動が低下している可能性が考えられた。また、フリッカーテストやVASの結果から、イライラ感の増大や集中力の低下、自覚的ストレス感の増大がみられるとともに、被験者が疲れていることは明らかだった。これらのデータは、過酷なパソコン作業が心理的な変化をもたらすとともに、自律神経活動を低下させたことを示していると考えられる。
なお同研究は、日本生理人類学会第59回大会(10月18~19日、東京)および第38回日本臨床神経生理学会・学術大会(11月12~14日、神戸)で発表する。同成果は、ヒューマンヘルスケア商品の開発に応用していく考え。
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