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2009年01月15日
花王、口内環境の悪化は歯の美しさを失う要因の一つになっている可能性を示唆
花王ヒューマンヘルスケア研究センターは、清浄で健康な口内環境に整えることを目的としたオーラルヘルスケア研究と、歯の美しさをサポートするオーラルビューティーケア研究に取り組んでいる。今回、歯の白さやツヤが失われるなどの“大人になると気になる歯のくすみ”に対して、加齢による歯のくすみの実態とそのメカニズムについて研究を行った。
その結果、年齢とともに、歯本来の白さは失われ黄ばんでくること、その原因の一つは、エナメル質内部の構造変化に影響されることを突き止めた。また、これらの現象と唾液分泌低下にともなう口内環境の悪化が関連し、さらに歯のツヤにも影響していたことから、口内環境の悪化は歯の美しさ(白さやツヤ)を失う要因の一つになっている可能性を示唆している。
歯やハミガキに関する花王の調査では、1日のハミガキ回数は平均2.4回と、この10年間で変わらないという。しかし、最近の傾向として、歯の美しさを気にしている人が増えているとのこと。特に、「歯が黄ばんでいる」と悩んでいる人は10年間で16.5%から25.6%に、「歯が白くない」と悩んでいる人は11.9%から21.8%にともに増えている。また、これらの悩みは、他のさまざまな口の悩みが増える30代以降も大きな悩みであることがわかった。そこで、年齢とともに気になる“大人の歯のくすみ”に対し、同研究を実施した。
10歳代~70歳代までの首都圏在住男女186人の歯について、歯の色みを調べた。歯本来の色を評価するために、タバコのヤニやお茶やコーヒーなどの飲食物による着色や歯垢などの汚れを十分に除去してから、デジタル画像解析によって上顎前歯(中切歯2本)の色を測定した。その結果、年齢とともに歯の黄色(b値)は、徐々に上がり、黄ばんでくることが分かった。その変化の程度は、20歳代と50歳代の歯の平均測定値の歯を比べても、50歳代の方が目視でも明らかに黄色みを帯びているのが分かった。つまり、歯本来の白さは、加齢とともに失われ黄ばんでくるものと考えられる。
歯の構造は一様ではなく、最表面をエナメル質が覆っている。エナメル質は、エナメル小柱といわれる小さな円柱が集合したもので、小柱と小柱の間には約0.1マイクロメートル(100万分の1メートル)の小柱間隙(しょうちゅうかんげき)といわれる隙間を持つ構造をしている。そこで、白い歯と黄ばんだ歯のエナメル質の構造を電子顕微鏡で比較観察した。その結果、白い歯は小柱間隙が明瞭に空いているのに対し、黄ばんだ歯は小柱間隙が堆積物によって不明瞭になっていることがわかった。また、この堆積物を分析したところ、カルシウム、リン、酸素からなるエナメル小柱を構成するアパタイトに類似した組成から成り、エナメル小柱を構成するアパタイトに比べ結晶性が低い状態(低結晶性アパタイト)で存在することが分かった。
エナメル小柱を構成するアパタイトは、本来は無色透明とのこと。また、エナメル質の下にある象牙質は、多少の個人差はあるが、黄色っぽい色をしている。小柱間隙が明瞭に空いている場合、歯に当たった光はエナメル小柱と小柱間隙の屈折率の差によって散乱するため、歯が白く見えるという。しかし、小柱間隙がエナメル小柱と類似した物質で埋まってしまうと、光が散乱することなく、まっすぐに透過してしまうため、象牙質の黄色が透けて見えるのだと説明する。つまり、歯の色は、エナメル質表層の光の散乱性が関係しており、歯本来の白さが失われ黄ばんでくるのは、小柱間隙が堆積物によって埋まり、エナメル質内部の光散乱性が低下した結果だと考えられる。
加齢とともに唾液分泌量が低下し、口内環境は悪化してくるとのこと。小柱間隙の堆積物は、カルシウムやリンなどから構成されていることから、それらの由来が唾液だと考え、20歳代と50歳代の唾液中の蛋白質、カルシウム、リンの分析を行った。その結果、50歳代の唾液中でこれらの成分の濃度が上昇していることがわかった。さらに、これらの成分の濃度上昇は、歯の表面にも堆積物の形成を促すため、歯の表面も凸凹してきて、歯のツヤが低下してくるという。つまり、唾液分泌量の低下にともなう口内環境の悪化は、エナメル質への堆積物の形成を加速し、歯の美しさ(白さやツヤ)を失う要因の一つになっていると考えられる。
同研究の一部は、第50回歯科基礎医学会(2008年9月23~25日、東京)で発表した。また、同成果は、今後オーラルケア商品の開発に応用していく考え。
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