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2009年04月24日

キャンサーリボンズなど、がん患者の職場復帰の現状と課題把握を目的にした調査結果を発表

 社会全体で支えあうがんケアネットワークを提案するNPO法人のキャンサーリボンズとバイエル薬品は、「働き続けたいがん患者さんの職場復帰支援 ~大切にしたい、いのちのビジョン~プロジェクト」の一環として、2008年12月~今年1月の期間に、がん患者の職場復帰の現状と課題を把握するため、患者とその家族165名を対象にアンケート調査を実施。この調査結果の発表会を4月23日に開催した。

 がん罹患者数の増加にともない、働き盛りの年齢でがんに罹患し、治療後や治療を受けながら職場復帰する患者が増えている。キャンサーリボンズとバイエル薬品は、このような現代社会において、がん患者が自分なりの働き方で仕事を続けられることを目指し、2008年9月から「働き続けたいがん患者さんの職場復帰支援 ~大切にしたい、いのちのビジョン~プロジェクト」をスタート。今回パイロットサーベイとしてアンケート調査を実施した。

 調査に回答したがん患者の66.1%は職場に復帰していた。まだ復帰していない人で、「元の職場に復帰する」、「転職する」など今後の見通しがついている人は35.7%だった。復帰者のうち、復帰後に病気を原因とする職場・仕事内容の変化が「あった」人は26.6%、処遇の変化が「あった」人は14.7%だった。職場・仕事内容の変化について質問したところ、「勤務時間や日数が変わった」が44.8%、また処遇の変化は「賃金」が4分の3を占めた。

 この結果に、キャンサーリボンズの理事で荒木労働衛生コンサルタント事務所所長の産業医である荒木葉子氏は、「がんは早期発見が増え治療が短くなったとはいえ、職場では十分に理解し受け入れる体勢ができていない。例えば、メタボ健診やメンタルヘルスについては、ガイドラインなどが出ているため、企業の取り組みもしっかりしている。これに対し、がんについてはガイドラインなどがないため、企業も消極的になりがちだ」と述べ、がんという疾患に対する現状と企業の取り組みに大きなギャップがあることを説明した。

 がん患者の66.6%は、職場復帰に対して不安に感じていることがわかった(とても不安+少し不安)。とくに、これから復帰を希望する人は、34.6%が「とても不安」と回答した。不安の内容は、62.7%は「体力面」、26.4%は「治療との両立」だった。

 
 がん患者の88.7%は、がんであることを勤務先に報告しており、「発見してすぐ」の報告が56.3%、「発見してから治療開始までの間」が38.9%だった。報告した相手は88.1%が「上司」だった。医療現場では、治療医に職場復帰について相談しない患者が37.6%いた。その理由は、「医師に相談することだとは思わなかったから」(40.3%)が最多だった。

 これらの結果について、キャンサーリボンズ委員であり虎の門病院分院内科総合診療科部長で治療医で産業医でもある川畑雅照氏は、「働き盛りのがん患者の多くは、仕事を失うことに不安を感じている。この傾向が強い人は仕事に生きがいを感じている人。こうした人の不安を取り除くためには、会社に復帰しやすいように、医師もがん患者の仕事を理解しようとする努力が必要だ。ただし、医師もすべてを把握することができないため、産業医がサポートする体制をつくる必要がある。それによって、医師は職場のことがわからない、職場の人は病気のことを理解していないというギャップを埋めることができる」と述べていた。

 自分の仕事や生き方について、気持ちの整理や転換がうまくできているかとの問いに対して、「できた」(十分できた+まあできた)と答えた人ほど職場復帰に対する不安が少なく、現在の生活や復帰後の仕事全般に対する満足度が高い傾向にあった。気持ちの整理や転換が「十分にできた」人は、43.4%が職場復帰に際して「不安を感じなかった」(あまり不安はない/なかった+不安はない/なかった)と答えており、気持ちが整理しきれていない人たちを上回っている。また、現在の生活に対する満足度は96.7%が「満足」(非常に満足+満足)と答え、気持ちが整理しきれていない人たちをいずれも上回っている。

 
 この結果について、キャンサーリボンズ理事、慶應義塾大学薬学部教授で9年前に悪性の疾患を患った経験をもつ望月眞弓氏は、「9年前に復職する際、自分はどういう生活をおくればよいかを考え、気持ちを整理してから復帰するようにした。まず、体を慣らすようにしてから、徐々に仕事になれるようにして、残業も極力控えて無理なくこなすようにした。これができたのも、職場でカミングアウトし、状況をしっかり理解してもらったことが大きかった。このため、がん患者や周りの人などそれぞれが気持ちを整理しやすい情報を提供するとともに、職場の人たちも理解するように努力することが、職場復帰をスムーズにするよい手段だと考えている。また、がん患者自身は人生の目標を再確認し、どういった人生を歩んでいくのか判断することも気持ちを整理する面では重要だ」と、自らの経験からがん患者の職場復帰のポイントをアドバイスしていた。

 がん患者が治療をしながら働き続けられるようにするには、どのような支援が欲しいかとの問いに対して、全体の53.9%が「主治医との今後の治療の見通しの相談」を挙げ、次いで「患者として知っておくべきこと、行動すべきことを確認できる情報本、チェックシートなど」(49.1%)、「患者会情報」(45.5%)、「病気や治療に関する情報の入手方法や相談先の紹介・アドバイス」(42.2%)などが挙げられた。患者が職場復帰するためには、主治医のサポートの下、自分の病状や治療について理解すると同時に、自ら調べて行動することや、患者同士のサポートも大切であることがわかった。また、職場に対しては、「上司・人事との復帰のステップや働き方の相談」(41.8%)、「治療の見通しを話せた上で、業務のサポートを受けること」(37.0%)、「入院・治療・復帰時に利用できる職場制度についての情報提供」(36.4%)を希望していることもわかった。

 こうした結果について、キャンサーリボンズ理事長、聖マリアンナ医科大学付属研究所ブレスト&イメージングセンター院長の福田護氏は、「がん患者は病気や仕事面も含め、上司という縦方向の相談だけでなく、多方面から相談相手を探す必要がある。そのベクトルをつくることがキャンサーリボンズの役目でもある。そのためには、がん患者の良いロールモデルを見つけ、システムを構築することが大切だ。この一環として、『がん支えあいの日』というイベントを行い、それぞれの立場でがんを語り合うことで、社会全体で支えあうことの大切さが広く理解されるようになれば、がん患者の職場復帰も変わってくるはずだ」と、がん患者を多方面でサポートしていく考えを示した。

キャンサーリボンズ=http://www.ribbonz.jp/
バイエル薬品=http://byl.bayer.co.jp/

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