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2010年02月17日

ALAサイエンスフォーラム、環境・植物領域からヘルスケア分野まで広がるアミノ酸ALAの最新研究を発表

 ALAサイエンスフォーラムは2月16日、「注目のアミノ酸ALA 最新研究報告会 農業貢献からヘルスケアまでさらに広がる可能性」と題した第2回マスコミセミナーを開催した。セミナーでは、東京都市大学人間科学部 学部長 近藤雅雄教授、銀座スキンクリニック 坪内利江子院長、女子栄養大学栄養学部文化栄養学科 根岸由紀子准教授、富山県立大学 葭田隆治客員教授、コスモ石油中央研究所 渡辺圭太郎事業開拓グループ長がそれぞれ講演を行った。

 ALA(5-アミノレブリン酸)は、生命の誕生に関与したアミノ酸といわれ、生命活動を活性化させるはたらきがあることから“生命の根源物質”と呼ばれているという。血液(ヘモグロビン)や葉緑素(クロロフィル)の原材料となるアミノ酸で、このようなはたらきをもつアミノ酸はALAのほかにないとのこと。近年、コスモ石油がバイオテクノロジーを元にした微生物発酵法によって量産化を可能とし、ALAの技術応用に多方面から注目が集まっているという。また、ALAは光合成を促進し、低温や劣悪な土壌環境でも植物を生長させ収量を増やすことから、地球温暖化問題や食糧問題を解決する可能性を秘めているとのこと。最近では、美容・健康食品・育毛などのヘルスケア領域での応用研究も活発に進められているという。さらに、一部がんの診断や光力学的治療などの研究も進められているようだ。

 そこで、ALAサイエンスフォーラムでは、環境・植物領域、ヘルスケア領域ともに、幅広い研究者、有識者に参画してもらい、(1)ALAを使った研究の促進、(2)地域や研究機関、各種団体との共同事例の開発、(3)これら研究や取り組みに関する情報発信---などの活動を通じて、社会に寄与することを目的に発足。今回、第2回目のセミナーを開催した。

 まず、東京都市大学人間科学部 学部長 近藤雅雄教授が「ALA+Feのはたらき 生命エネルギー源ALAの健康応用」と題した講演を行った。「ALAとは、グリシンから生産される天然のアミノ酸で、生命色素ヘムやクロロフィルを生産するアミノ酸だ。つまり、生命の維持およびその活動に不可欠な成分といえる」と、そもそもALAとはどんな物質であるかを説明。「ALAはFeと結びつくことでヘムを作り出す。ヘムは、酸素の運搬や貯蔵、エネルギーの生産、血流調節、神経機能の保持、薬物代謝、内分泌および神経情報伝達、抗酸化作用、甲状腺ホルモンの生産など、様々な生理的機能をもつ。ヘムの生産はALAでしかできないことから、ALAには人間の健康力を高めるはたらきがあると考えられる」と、ALAが生命の維持に不可欠な成分である所以を述べていた。

 
 では、健康力を高めるために、具体的にはどのように応用していけばよいのだろうか。「現代社会の健康阻害要因にストレスが挙げられる。このストレスの源ともされている活性酸素を、ALA+Feによって生産されたヘムが分解、除去する」と、各種ストレスから発生する活性酸素を防御するという応用の仕方を説明してくれた。「今後の可能性については、加齢による胸腺の萎縮をALA投与によって弱めることがマウスを用いた試験などから明らかになった。このため、健康寿命を高める効果も期待される」と、ALAは私たちの健康をサポートしてくれる成分であり、さらなる研究によって幅広い分野に応用できる可能性があることを訴えていた。
 
 次に、銀座スキンクリニック 坪内利江子院長が「ALA+Feの肌への働き」と題して講演を行った。「ALA+Feは分子量が小さいため、肌細胞内まで浸透する。浸透した細胞には多くの水とエネルギーが発生する。これによってターンオーバーを促進し、水分と活力に満ちた細胞が生まれる」と、ALA+Feを添加することでエイジングケアが期待できるとのこと。
 
 「ALA+Fe溶液を肌に塗布し、肌の状態を観察した実験では、溶液を導入した86%に水分量の改善がみられ、うち半数について著明な改善がみられた。また、ALA+Fe溶液の塗布によって、臨床的にも明らかに肌のキメが改善された」と、肌の改善にALA+Feが大きな効果を発揮することがわかったという。「今後は、乾燥肌の改善やアトピー治療などへの応用が期待される。美容面ではシワとりなど、アンチエイジング的な活用法が考えられる」と、皮膚の治療および美容面についてもALAの今後の活用に注目が集まっていくものとみられる。
 
 では、私たちはどれだけALAを日々摂取しているのだろうか。女子栄養大学栄養学部文化栄養学科 根岸由紀子准教授が食品に含まれるALAを調査し、どういった食材にどれだけのALAが含まれているのかを発表してくれた。

 「食品中のALAを測定するために、蛍光誘導体化し、測定にはHPLC法を用いた。抽出法を決め、添加回収試験を繰り返し、阻害要因を除くよう、希釈倍率を検討した。そして、ALAは熱に安定し、火を通したものでも容易に測定が可能であることがわかった」と、どのようにすればALAを測定できるかというところからスタートしたという。「測定した結果、穀類にはなく、酒類、一部の発酵食品などにALAが多く含まれることがわかった。また、調理品から1日の想定ALA摂取量を測定した結果、30.3から59.0μgで、平均47.6μgとなり、毎日とり続けても安全であることがわかった」と、研究結果を報告してくれた。

 
 作物生産分野でのALAの活躍について、富山県立大学 葭田隆治客員教授が講演を行った。「日本の稲作は、移植から直播稲作への転換が行われている。しかし、平方メートル当たりのもみ数が多すぎて登熟歩合が低下する。このリスクを弱めるのがALAである」と、農家にとって、直播稲作は手間が省けるだけに、そのリスクを少なくしてくれるALAは、農業自給率アップの救世主になりえるとのこと。「ALAを稲に散布すると、弱勢えい果の登熟歩合が大幅に向上し、通常品と同じ味で品質が維持される」と、収量が増えるだけでなく、味もしっかりした稲ができあがるという。

 「日本の自給率向上は、農作物の安定供給が最も重要であるので、作物の機能を最大限に発揮させるためにはALAの活用が不可欠だ」と、日本が抱える農業問題を解決する成分としてもALAに対する期待は大きいようだ。

 
 最後に、コスモ石油中央研究所 渡辺圭太郎事業開拓グループ長がALA含有肥料について最新報告を行った。「ALA含有肥料は、ヨーロッパを中心に世界各国に拡がりをみせている。アジアでは中国でのALAの活用事例が豊富になってきた。中国は、今後大きな収量向上が必要で、品質向上も求められている。しかし、農業として生育ストレスが大変多い地域だ。そこで、2008年に公的試験場で実施した登録申請用試験においてALA含有肥料を使った結果、収量を向上することができた。これによって、昨年から中国での肥料仮登録を取得しALA含有肥料の販売を開始した」と、日本にも数多くの農作物を輸出する中国で今ALAが積極的に利用されているとのこと。

 「ALA含有肥料は植物本来の能力を引き出すことにつながり、農作物事業の改善につながっている。今後は、食糧問題や地球環境改善にも貢献できる芽があると考え、ALAの研究を引き続き行っていきたい」との決意を語ってくれた。

 全講演の終了後、東京大学名誉教授でALAサイエンスフォーラムの松本聰代表が今回のセミナーの総括を行った。「20年前にALAの研究がスタートしたが、大量生産できず試薬としては非常に高価であったため、研究試験などはほとんどできなかった。しかし、コスモ石油が発酵による大量生産技術を確立したことで、様々な研究が可能になった」と、コスモ石油によるALAの大量生産が大きな第一歩になったという。

 「ALAサイエンスフォーラムは、なぜそうなるのかというところを究明していくことを目的に発足した。まずは植物分野が先行していたが、徐々に人間の健康や化粧品分野における効果も明らかになってきた。今回のセミナーでは、こうした様々な分野の科学的データを用いた報告をすることができた。今後も科学的知見に基づいたALAの効能を発表していく」と、さらなるALAの研究および発表の機会を増やしていく考えを示した。

ALAサイエンスフォーラム=http://www.ala-sf.net/
コスモ石油=http://www.cosmo-oil.co.jp/

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