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2008年06月20日
カゴメ、名古屋市立大学の共同研究でリコピンのシワ予防・美白効果のメカニズムを解明
カゴメ総合研究所は、名古屋市立大学 森田明理教授と共同研究でリコピンがコラーゲン量を増加する効果を、また、単独の研究でリコピンがメラニン生成を抑制する効果を明らかにしてきた。今回は、それらのメカニズムの一端について明らかにした。
シワやシミなどの皮膚の老化現象は、自然老化と光老化にわけられるという。自然老化は加齢が主な原因であり、光老化は紫外線とのこと。皮膚の老化現象の約80%は、光老化によるといわれている。顔や首など絶えず紫外線にさらされている部位ほど早くシミが現れたり、深いシワができるのが光老化の特徴とのこと。これまでの研究で、リコピンにはシワ予防に関係があるコラーゲンの量を増加する効果があることと、シミの原因となるメラニン生成を抑制する効果があることを明らかにした。今回はそれらのメカニズムを検討した。
リコピンがコラーゲン量を増加させるメカニズムの解明の目的として、コラーゲンは細胞内で合成され、その過程においては様々な細胞内伝達物質がコラーゲンの合成を調節している。Smad7は、その中でもコラーゲンの合成を抑制する働きをしているとのこと。今回はヒト皮膚線維芽細胞を用いてリコピンがSmad7の遺伝子に与える影響を検討した。
実験にはヒトの真皮に存在し、コラーゲンを合成するヒト皮膚線維芽細胞を用いたという。細胞に0.1μM となるようにリコピンを添加し、29時間培養を行った。培養終了後、細胞から遺伝子を抽出し、リアルタイムPCRでSmad7の遺伝子発現を確認した。
その結果、リコピンは、Smad7の遺伝子発現を有意に抑制することを確認した。Smad7の遺伝子発現が抑制されるということは、コラーゲンの合成を抑制する物質が少なくなり、その結果としてコラーゲン量が増えることが期待できるという。今後はどのような経路でリコピンがSmad7の発現を抑制したのかなど、さらなる検討を進めていく考え。
リコピンがメラニン生成を抑制するメカニズムの解明の目的として、メラニンの生成は、皮膚のメラノサイトという細胞で行われる。その生成過程には、チロシナーゼやチロシナーゼ関連タンパク質などの酵素が作用するという。今回はリコピンのメラニン生成を抑制するメカニズムを解明するために、細胞を用いてリコピンがチロシナーゼとチロシナーゼ関連タンパク質の遺伝子に与える影響を検討した。
実験にはメラニンを作り出す能力を持った細胞(B16メラノーマ細胞)を用いた。細胞に1μM となるようにリコピンを添加し48時間培養したという。培養終了後、細胞から遺伝子を抽出し、リアルタイムPCR にてメラニン合成に関わるチロシナーゼとチロシナーゼ関連タンパク質(Tyrosinase related protein-1:TRP-1)の遺伝子発現を確認した。
その結果、リコピンを添加することで、チロシナーゼ及びTRP-1の遺伝子発現を有意に抑制することを確認した。このことから、両酵素の量が減少することが推測されるという。したがって、リコピンがメラニン生成を抑制するメカニズムの1つとして、リコピンがメラニン生成に関与する酵素そのものの量を減少させることが期待できるとのこと。今後もさらなるメカニズムの解明を進めていく考え。
なお、同研究内容は、第15回国際カロテノイド会議(6月22~27日、沖縄)で発表する予定だ。
[用語の説明]
リコピン:カロテノイドの1つで、トマトに多く含まれる赤い色素。カロテノイドの中でも優れた抗酸化活性を有しており、活性酸素が原因と考えられる様々な疾病に予防効果を示すことが期待されている。脂溶性であることから油とともに摂取すると吸収性が高まる。
抗酸化物質:抗酸化物質とは、活性酸素を消去する働きのある物質のこと。ビタミン類では、ビタミンA、C、Eが、また野菜に含まれる色素であるカロテノイドも抗酸化物質となる。
活性酸素:酸素分子から派生する、酸化力が強い物質の総称で、体中では細菌に対する攻撃やエネルギー産生に関与しているが、過剰に存在すると生活習慣病の原因になるという。
紫外線:地表に届く太陽光の中で最も波長の短いもの。紫外線は波長によってUVA、UVB、UVCの3つに分けられる。UVCはオゾン層にさえぎられ、地表には届かないが、UVAやUVBは地表まで届くとのこと。紫外線は体内でビタミンDを作るのを助けるなどよい影響もあるが、一方浴びすぎると皮膚や目など生体に悪い影響を及ぼすことがあるという。紫外線の強さは時刻や気象条件によって変わるが、一日の中では正午ごろ、季節では5月~8月頃に最も強くなる。
光老化:紫外線を長年浴び続けた結果生じるシワやシミなどの皮膚の老化現象のこと。光老化の度合いは紫外線を浴びた時間と強さに比例するといわれている。
コラーゲン:コラーゲンは骨や軟骨などを構成するタンパク質の一種。コラーゲンには多くの種類があり、I型コラーゲンは真皮の主な構成成分であり、皮膚の強度や弾力を与える働きをしている。コラーゲンの量は加齢や紫外線により減少することが知られており、コラーゲン量の減少はシワ形成の原因の1つとなっている。
メラニン:メラニンは体内で合成される色素の一種。細胞を紫外線から守る働きをする物質。しかし、メラニンが過剰に生成されると、シミ・ソバカスの原因になってしまうとのこと。
リアルタイムPCR:遺伝子の発現量を定量的に測定する方法。
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