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2008年05月07日
カルピス、ラクトトリペプチドを構成する「VPP」に単球の血管内皮細胞への接着抑制作用を確認
カルピスは、血圧降下作用のある「ラクトトリペプチド(LTP)」を構成する「VPP」に、粥状動脈硬化を抑制するうえで重要なステップである、“単球の血管内皮細胞への接着抑制作用”があることを、同社健康・機能性食品開発研究所と東京医科歯科大学 吉田雅幸教授との共同研究で確認した。
同社では、「ラクトトリペプチド(LTP)」の「血圧・血管機能改善」研究を進めている。「ラクトトリペプチド」は、Val-Pro-Pro(VPP)、Ile-Pro-Pro(IPP)の2種類のペプチドで構成され、血圧を上昇させるアンジオテンシン変換酵素(ACE)を阻害する作用があり、正常高値血圧者、軽症および中等症高血圧者への血圧降下作用や安全性などを研究によって確認している。さらに、最近では、「ラクトトリペプチド」に血管内皮機能改善や血管の「硬さ」を改善することもわかり、血圧のみならず血管機能にまで及ぶことが、同社の研究で少しずつ明らかになってきた。
今回、「ラクトトリペプチド」を構成する「VPP」の血管の詰まりを予防する研究の一環として、動脈硬化を起こすメカニズムで、具体的にどのような予防効果を示すのかをヒト培養細胞を使用して実験した。
血管(動脈)の内側にある内皮細胞が刺激を受け傷つくと、内皮細胞の下(血管内膜)に変性したLDL(悪玉コレステロール)がたまるという。そのLDLを排除しようとして、白血球(単球)が内皮細胞に接着し、血管内膜に浸入しLDLを取り込むとのこと。しかし、LDLを取り込んだ単球は、血管にたまり続け膨れ上がってしまい(プラーク)、動脈をふさぐ原因になるという。このプラークが破裂すると重篤な心筋梗塞、脳梗塞を引き起こすとされている。そのため、この単球の接着を適度に抑えることで、動脈硬化が予防されると考えられている。そこで、今回、「VPP」に単球の接着を抑える効果があるかどうかを調べてみた。
まず、ヒトの単球(ヒト単球細胞株)および血管内皮細胞(臍帯静脈内皮細胞)を用いて実験を行った。単球は「PMA(ホルボール12-ミリスチン酸13-酢酸塩:単球を刺激して、内皮細胞に接着しやすくする)」、血管内皮細胞はIL1β(インターロイキン・ワン・ベータ:内皮細胞を刺激して、単球を接着しやすくする)で処理し、双方が接着しやすい状態にする。そして、細胞接着実験装置を使用し、単球を血管内皮細胞上に実際に血管が流れる速さに調節して流し、接着する細胞を観察するという。次に、「VPP」と一緒に24時間培養し、さらに「PMA」で刺激を与えた単球を、同じように血管内皮細胞上に流すが、血管内皮細胞への単球の接着数は、「VPP」と一緒に培養しないときと比べて有意に減少していた。
このことから、「ラクトトリペプチド」を構成する「VPP」は、単球の接着を防ぎ、血管の詰まりを予防する可能性があることがわかった。
続いて、「VPP」が単球の接着を抑制するメカニズムを調べた。単球の細胞内には、「MAPキナーゼ」という酵素があり、細胞の重要な情報伝達に関与していて、単球の接着にも関与すると考えられている。この「MAPキナーゼ(分裂促進因子活性化タンパク質(MAP)キナーゼ:酵母から動物まで真核生物に広く存在するリン酸化酵素。細胞外からの刺激を伝え、細胞の増殖、分化、発生、運動などに関する様々な情報を伝達する役割を果たす)」は「PMA」で刺激を与えた単球では活性化されているが、「VPP」と一緒に培養した単球では、この「MAPキナーゼ」の一種である「JNK(c-Jun N末端キナーゼ:「MAPキナーゼ」の一つ。紫外線照射、熱ショック、炎症性サイトカインといった細胞への刺激により活性化される)」の活性化が抑制されたという。
これにより、「VPP」は、単球内のJNK活性化を抑制し、血管内皮細胞と単球の接着を防ぐ可能性があることがわかった。
「ラクトトリペプチド」を構成する「VPP」は、単球の血管内皮細胞への接着を防ぎ、血管の詰まりを予防する可能性があること、およびメカニズムの一つとして、「MAPキナーゼ」の一種「JNK」の活性化(リン酸化)を抑制していることがわかった。このことから、「ラクトトリペプチド」を含む食品は、血管の「詰まり」の予防に有用である可能性が示された。
なお、この研究成果は、日本栄養・食糧学会(5月4日)で発表した。
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