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2009年10月02日
[特集]糖転移ヘスペリジンの研究会が本格始動、血管の健康維持に役立つ新機能性素材に注目集まる
血管の健康維持に役立つ新たな機能性素材として、「糖転移ヘスペリジン」への注目度が高まっている。糖転移ヘスペリジンとは、柑橘類ポリフェノールの一種であるヘスペリジンの水溶性を大幅に高め、体内に吸収しやすくしたもの。今年7月には、糖転移ヘスペリジンに関する研究を推進する「糖転移ヘスペリジン・ビタミンP研究会」が発足し、本格的に活動を開始。その研究成果を基に、今後、糖転移ヘスペリジンの応用範囲が広がり、健康食品や飲料、化粧品など様々なジャンルでの商品化が期待されている。
では、なぜ今、糖転移ヘスペリジンなのだろうか。その背景には、2008年4月から始まった「特定健康診査・特定保健指導」をきっかけに、動脈硬化のリスクを高めるメタボリックシンドロームが大きな話題を集めたことがあげられる。血管が老化し、血液の流れが悪くなる動脈硬化は、進行すると心疾患や脳血管疾患など命にかかわる重大な病気につながる恐れがあるといわれている。また、厚生労働省研究班による多目的コホート研究「メタボと死亡・疾病との関連を調べた調査」では、がん・循環器疾患リスクと肥満の関連性は低く、それよりも高血圧対策の方が重要であるとの検証結果が発表されている。こうしたことから、血管の健康を維持する取り組みが、より重要性を増してきているのである。
厚生労働省「平成20年人口動態統計の年間推計」をみても、日本人の死因の2位、3位は、心疾患(15.9%)、脳血管疾患(11.1%)となり、全体の約3割が血管のトラブルが原因で亡くなっていることがわかる。通常、血管の老化は、年齢とともに徐々に進んでいくが、コレステロール値や中性脂肪値、血圧、血糖値が高い、タバコを多く吸う、太り気味などといった生活習慣病の危険因子をもっていると、血管に与えるダメージが大きくなるため、老化の進行が早くなるといわれている。しかも、この危険因子の数が多ければ多いほど、動脈硬化のリスクは高くなるという。ただ、逆に考えると、これらの危険因子を減らす生活習慣を心がけていれば、血管の健康を維持し、動脈硬化を防ぐことができるといえるだろう。
血管の健康を維持するための生活習慣で大切とされているのが、栄養バランスのよい食事、1日30分以上の有酸素運動、ややぬるめのお湯での半身浴、血流を促進するマッサージなど。そして、こうしたセルフケアに加え、日常の食生活では摂りにくい成分を効率的に補い、血管の健康維持をサポートする機能性素材として、今、糖転移ヘスペリジンの注目度が急上昇しているのである。
■“動脈硬化の予防”と“血流循環の改善”に関する作用に期待
ここからは、糖転移ヘスペリジンとはどんな成分で、なぜ血管の健康維持に期待できるのか、詳しく見ていくことにしよう。
ヘスペリジンとは、みかんやゆずなど柑橘類の果実の皮や袋から抽出されたポリフェノールの一種だ。“ビタミンP様物質”とも呼ばれ、欧州では医薬品原料(静脈循環改善薬)として利用されているほか、漢方薬の陳皮に含まれる有効成分としても知られている。日本では、古くから冬のビタミン補給源としてみかんを食べ、冬至にはゆず湯に入って体を芯から温めるといった習慣があり、機能性素材として認識される前から、その健康作用が生活に役立てられてきた。
その一方で、ヘスペリジンは、水に溶けにくい性質をもつため、機能性素材として活用するにあたっては、体内への吸収性が低いという大きな課題があった。そこで、こうした課題を解決するべく、林原生物化学研究所によって開発されたのが糖転移ヘスペリジンである。同研究所では、独自の技術力を駆使して、酵素反応でヘスペリジンとブドウ糖を結合させることに世界初で成功。その結果、糖転移ヘスペリジンは、通常のヘスペリジンに比べて10万倍も水に溶けやすくなり、商品への加工適性と体内への吸収性が飛躍的に向上したという。
この糖転移ヘスペリジンは、これまでの研究や臨床データから、血管の健康維持に関わる様々な生理機能をもっていることが明らかになっている。その作用は大きく2つに分けられ、1つは動脈硬化の予防につながる「血管の老化にともなう疾病の改善作用」、そしてもう1つが「血流循環改善による冷え性など諸症状への作用」である。
まず、「血管の老化にともなう疾病の改善」については、血清中性脂肪を低下させる作用、および血圧上昇を抑制する作用が臨床データによって明らかになっている。血清中性脂肪の低下では、中性脂肪値が高いグループに、糖転移ヘスペリジンを1日500mg、6ヵ月間投与し続けたところ、摂取期間中については、中性脂肪値に3~4割の低減が認められたという。一方、正常値の被験者にはほとんど影響がなかったとのこと。さらに、悪玉コレステロール(LDL)値や肝機能の指標も改善されることが観察されており、血清脂質を質的に改善する効果が期待されている。
血圧上昇の抑制では、血圧が正常なラットと高血圧自然発症ラットに、それぞれ普通食または糖転移ヘスペリジン配合食を与え、血圧におよぼす効果について評価を行った。
その結果、高血圧自然発症ラットにおいて、普通食で飼育したグループに比べて、糖転移ヘスペリジン配合食で飼育したグループのほうが、血圧の有意な低下がみられたという。血圧正常なラットに対しては影響がなかったとのこと。また、糖転移ヘスペリジンを与えたラットの血管を調べたところ、血管平滑筋の過剰な収縮が抑制されていたほか、血管内膜・中膜が厚くなっていないなど、血管に弾力性が戻っていたことが観察されたという。
次に、「血流循環改善による冷え性など諸症状への作用」に関しては、サーモグラフィを使って冷え性の人の皮膚温の測定を行ったという。その結果、糖転移ヘスペリジンを摂取後30分経過すると、手の皮膚温が上昇してサーモグラフィが赤色に変化し、末梢血流の循環が改善されたことが確認できたとのこと。こうした末梢血流の循環改善作用は、冷え性だけでなく、肩こりや腰痛、眼精疲労、倦怠感などの解消、さらには美容面への効果も見込まれている。
また、糖転移ヘスペリジンには、血管に関わる作用以外にも、アレルギー反応を長時間抑制する免疫調整作用や、骨形成を促し骨量減少を抑制する骨代謝改善作用についても、臨床データによって、その効果が確認されているという。
■サプリメントや機能性飲料、化粧品など広がる応用商品
今年7月に発足した糖転移ヘスペリジン・ビタミンP研究会では、こうした糖転移ヘスペリジンの多岐にわたる生理機能をさらに深く研究するべく、循環器内科を始め、血液内科、生命機能科学科、農学生命科学研究科、薬科学科、機能性食品ゲノミクス、生物化学、生体機能学研究室、医療栄養学科など様々な分野から22人の研究者が参加。糖転移ヘスペリジンの原料開発を手がける林原生物化学研究所が事務局となり、基礎的および応用的な研究を進めるとともに、その成果の発表、情報交換、社会に対する情報発信を行うことで、生活者の健康とQOL(Quality of Life:生活の質)向上を目指していく方針だ。
また、同研究会には、賛助企業として、糖転移ヘスペリジンを活用した商品開発・販売を手がけるメーカー約30社(2009年9月16日現在)が参加している。実際に糖転移ヘスペリジンを配合した商品としては、食品・飲料分野を中心に、サプリメント、機能性飲料、清涼飲料水、ゼリー、キャンディなどが市販されており、このほか美容クリームや口紅、育毛剤なども上市されているという。
今後、同研究会では、さらに糖転移ヘスペリジンの効果検証を進め、応用範囲を広げていく計画だ。一例を挙げると、糖転移ヘスペリジン摂取後の効果についてアンケートを実施したところ、睡眠の質が改善したとの回答が多くあったという。これは、単に血流循環改善の副次的効果とも考えられるが、乱れた生体調節機能を整えることにより睡眠の質を根本的に改善している可能性も考えられるため、同研究会では、このメカニズム解明にも積極的に取り組んでいく考えだ。
なお、同研究会のホームページでは、糖転移ヘスペリジンを“血管力を高める機能性素材”として生活者にアピールし、血管力の大切さや、糖転移ヘスペリジンの特徴や健康作用などをわかりやすく紹介している。この他、研究成果や活動内容なども、随時、ホームページに公開していくという。糖転移ヘスペリジンは、市場にどんなムーブメントを巻き起こすのか、今後の動きにも目が離せない。
糖転移ヘスペリジン・ビタミンP研究会=http://www.ghes.jp/
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