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2007年11月16日

カゴメ、トマトジュースとリコピン含有カプセルの継続摂取が花粉症の自覚症状を改善させることを確認

 カゴメ総合研究所は、国際医療福祉大学(樋渡正夫教授)との共同研究で、花粉症の症状を有するヒトがトマトジュースやトマトに由来するカロテノイド(主にリコピン)を継続的に摂取することで、花粉症の自覚症状に関するスコアが改善することを確認した。

 近年、アレルギー性疾患は増加傾向にあり、2003年に行われた保健福祉動向調査によると日本人の3人に1人が皮膚、呼吸器および目鼻のいずれかにアレルギーを有すると報告されている。アレルギー性疾患の中でも、花粉症は日本人の全人口の1割以上であると推定されており、罹患率の高いアレルギー性疾患として知られている。

 同社ではこれまでに、トマトに由来するカロテノイドが抗アレルギー作用を有する可能性があることを明らかにしてきた(2005年度版ニュースリリース「トマト由来カロテノイド(主にリコピン)の抗アレルギー作用を臨床試験で確認」)。また、リコピンの摂取がアレルギー反応を抑制することを動物実験で解明した。そこで、トマト加工品の摂取がアレルギー性疾患の一種である花粉症の症状を改善することができるのではないかと考え、同試験を実施したという。

 今回、トマトジュースおよびトマトに由来するカロテノイド(主にリコピン)の継続的な摂取が、花粉症の自覚症状やQOL、アレルギーの指標となるIgE抗体の産生抑制に有効であるかを明らかにすることを目的とし、研究を行った。

 同試験はヘルシンキ宣言に則って実施。過去2年連続して春に花粉症の自覚症状があり、アレルギーの指標であるスギ花粉特異的IgE抗体価が陽性である成人を対象とした。被験者の人には、研究に対する同意を得た後、トマトジュース(190g、リコピン35mg)を毎日1本(5人)、プラセボ飲料(190g、リコピン3.5mg)を毎日1本(9人)、リコピン含有カプセル(420mg、リコピン20mg)を毎日1粒(8人)、プラセボカプセル(420mg、リコピン0mg)を毎日1粒(6人)の4種類の食品を12週にわたり摂取してもらった。

 試験期間は、食品を摂取する12週間に加え、食品摂取をやめてから2週間の合計14週間とした。試験期間は、花粉飛散量が多い時期に合わせ、2006年2月~5月の間に実施。

 花粉症の自覚症状やQOLに与える影響は、日本アレルギー性鼻炎QOL調査委員会承認済の日本アレルギー性鼻炎標準QOL調査票(JRQLQ NO.1)を用いてアンケート調査を行った。加えて血中の総IgE濃度およびリコピン濃度を調べるため、採血を実施(0、4、8、12、14週)。トマトジュース摂取による花粉症への影響を確認するため、トマトジュース(190g、リコピン35mg)を毎日1本(5人)とプラセボ飲料(190g、リコピン3.5mg)を毎日1本(9人)の群を比較した。また、リコピン含有カプセル摂取による花粉症への影響を確認するため、リコピン含有カプセル(420mg、リコピン20mg)を毎日1粒(8人)とプラセボカプセル(420mg、リコピン0mg)を毎日1粒(6人)を比較した。

 まず、花粉症の自覚症状やQOLに与える影響を調べるため、アンケート調査を行った。アンケートは大きく3つの項目(自覚症状、QOL、総括的状態)を含む。今回、トマトジュースおよびリコピン含有カプセルの摂取によって自覚症状のスコアを改善する効果が確認された。花粉症の自覚症状が悪化しているほど、スコアは高値を示す。トマトジュース摂取群とプラセボ飲料摂取群を比較した結果、トマトジュース摂取群では全6項目(水っぱな、くしゃみ、鼻づまり、鼻のかゆみ、目のかゆみ、涙目)のうち、水っぱな、くしゃみおよび鼻のかゆみの3項目で摂取開始から10週目で有意なスコアの改善を示した。

 リコピン含有カプセル摂取群とプラセボカプセル摂取群を比較した結果、自覚症状の全6項目のうち、水っぱなおよび目のかゆみの2項目で摂取開始から6週目で有意なスコアの改善を示した。目のかゆみの項目では、8週目においても有意なスコアの改善を示した。

 アレルギーの指標として血中の総IgE濃度を測定。IgEはアレルギーを発症している状態で多く分泌される抗体とのこと。トマトジュース摂取群はプラセボ飲料摂取群に比べて低下する傾向はあるが、有意な差はなかった。一方、リコピン含有カプセル摂取群ではプラセボカプセル摂取群に比べて、飲用開始から12週目に有意に低値を示した。

 試験食品が摂取されているかを確認するため血中のリコピン濃度を測定。トマトジュース摂取群、リコピンカプセル摂取群ともに、それぞれの対照に比べて試験開始から4~12週目で有意に高値を示した。リコピン含有カプセル摂取群は、14週目においても有意に高値を示した。

 以上の結果から、トマトジュースやトマトに由来するカロテノイド(主にリコピン)の継続的な摂取は、花粉症の自覚症状を改善することが期待できるとしている。

 なお、同研究内容は第57回日本アレルギー学会秋季学術大会(11月1日~3日、パシフィコ横浜)で発表した(発表題名「リコピンに富むトマト加工品の摂取が花粉症に及ぼす影響」)。

[用語の説明]
カロテノイド:主に植物に存在する、赤・橙・黄色の色素で、カロテノイドのうちβ-カロテンなどは体内でビタミンAに変換される。トマトにはリコピン(赤色)、ニンジンにはβ-カロテン(橙色)、赤ピーマンにはカプサンチン(赤色)が特徴的に含まれている。最近は、抗酸化作用による疾病予防作用が注目されている。

リコピン:カロテノイドの一つで、トマトに多く含まれる赤い色素。脂溶性であることから油とともに摂取すると吸収性が高まる。カロテノイドの中で抗酸化作用が最も高く、活性酸素種が原因と考えられる様々な疾病の予防作用が期待されている。疾病の予防の観点から、これらの抗酸化物質を効率よく吸収し、体内のリコピン濃度を高めることが重要だと考えられる。

プラセボ:ヒトにおける試験を行う際に対照として用いる試験薬に似せた形状で、有効成分を含んでいない偽薬のこと。試験薬の効果は、この偽薬を摂取した対照と比較することで確かめる。

IgE:IgEとは、アレルギー状態の際に過剰に分泌される抗体のこと。実際に、アレルギーの状態にあるときにIgE抗体の産生が高いことが知られている。IgEはアレルギーの引き金となる物質であり、刺激物質となるヒスタミンなどを誘発する。

特異的IgE:特異的IgEとは、特定のアレルゲンとだけ結合するIgE型の抗体のこと。スギ特異的IgEは、スギに含まれるアレルゲンとだけ結合するIgE抗体である。

QOL:Quality of Lifeの略で、一般的には「生活の質」「人生の質」を意味する。花粉症を含むアレルギー性鼻炎は「致死的疾患」ではないため、症状の改善によってQOLを向上させることが一般臨床医における治療の目標となっている。

日本アレルギー性鼻炎標準QOL調査票:同調査票は、計量心理学的に妥当性、応答性をはじめて種々の検討から日本の花粉症患者を対象に標準化されたもの。評価項目は、花粉症の自覚症状(水っぱな、くしゃみ、鼻づまり、鼻のかゆみ、目のかゆみ、涙目の全6項目)と、QOL(日常生活、戸外活動、社会生活、睡眠、身体機能、精神生活の6つの領域からなる全17項目)と総括的状態(1項目)の3つの項目で構成されている。

ヘルシンキ宣言:世界医師会第18回総会で採択されたヒトを対象にした試験の倫理規範のこと。正式には、「ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則」という。

研究結果の内容[PDF]

カゴメ=http://www.kagome.co.jp/

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