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2008年10月10日
ライオン、「ラクトフェリン」による脂肪細胞の脂質蓄積抑制効果を確認
ライオン研究開発本部は、京都府立医科大学・西野(にしの)輔(ほ)翼(よく)教授、京都市立病院・吉田(よしだ)俊秀(としひで)教授、名古屋市立大学大学院医学研究科・飯郷(いいごう)正明(まさあき)客員教授と共同で、牛乳・母乳などに含まれる多機能性タンパク質「ラクトフェリン」が、ヒトの内臓脂肪低減に有効であることを二重盲検臨床試験によって確認すると共に、その作用メカニズムを明らかにする一環として、脂肪細胞に対するラクトフェリンの脂質蓄積抑制効果を世界で初めて確認した。
厚生労働省の調べによると「メタボリック症候群(シンドローム)」該当者数は、40~74歳(対象人口約5700万人)で約960万人、予備軍を合わせると、約1940万人に達しており(2008年4月30日発表「平成18年 国民健康・栄養調査結果の概要について」)、国民健康の増進にとって、大きな課題となっている。
同社は、これまで歯周病と全身健康との関係について幅広く研究を進めてきた。その中で、哺乳類の母乳に多く含まれる多機能性タンパク質「ラクトフェリン」が、歯周病菌毒素LPS(リポポリサッカライド)を不活性化し、炎症の進行を抑制する効果を見出した。一方この研究の過程で、ラクトフェリンを与えたマウスの腸管まわりの脂肪やコレステロールが減少している現象を見出した。このことをきっかけとして、「ラクトフェリン」と脂質異常との関係性について研究をすすめた結果、「ラクトフェリン」が脂質異常の改善に有効であることを、モデルマウスを用いて明らかにしたという。そして今回、ヒトの内臓脂肪に対する「ラクトフェリン」の低減効果を、臨床試験で立証するとともに、その効果メカニズムについて検証した。
ラクトフェリンとは、多くの哺乳動物の乳に含まれており、ヒトの母乳、特に出産後数日の間に多く分泌される「初乳」に最も多く含まれているたんぱく質の一種。外部から進入する細菌やウイルスからの攻撃を防ぐ防御因子のひとつと考えられている。整腸作用(腸内の悪玉菌を減らし、善玉菌の増殖を助ける)、免疫賦活、大腸がん予防などの効果をもつとして注目されている。
「ラクトフェリン」の内臓脂肪低減効果を測定するため、年齢30~62歳、Body mass index (BMI):25以上の成人男女30名(うち有効サンプル数26名)を対象に、「ラクトフェリンタブレット」(1日あたりラクトフェリン300mg相当)摂取群とラクトフェリンの入っていないタブレット摂取群(プラセボ群)の2群に分け、2ヵ月間摂取させ、摂取前後でのCT撮影による腹部脂肪面積( 日本動脈硬化学会などが発表したメタボリック症候群の診断基準では、腹囲で男性85cm、女性90cm以上となっている。内臓脂肪量測定には腹部CTによる判定が正確とされている)の測定と尿検査、4週間毎の医師による問診、身長、体重、腹囲、臀部囲、血圧、血液検査、日誌および食事記録、運動量記録を実施した。試験期間中の運動による負荷および摂取エネルギー量、脂質量の制限は実施しなかった。
その結果、「ラクトフェリンタブレット」の2ヵ月間の摂取で、プラセボ群と比較して、CT撮影による腹部内臓脂肪面積の平均値で12.8cm2(p<0.01)、および腹囲3.4cm(p<0.05)、体重2.5kg(p<0.05)などの有意な減少が確認された。これらの結果から「ラクトフェリンタブレット」はヒトに対して脂質改善効果を示すことが明らかになった。
「ラクトフェリン」は熱や酸に弱く酵素でも分解されやすい性質を持っているため、そのまま摂取すると腸に届いて吸収されるまでに胃酸で分解してしまう。そのためこのテストでは、胃酸の中では溶けずに腸に届いてから溶ける「腸溶加工」された「ラクトフェリンタブレット」を用いている。
内臓脂肪は、小腸の腸間膜に存在する「脂肪細胞」において蓄積される。そこで、この「脂肪細胞」の脂肪蓄積量を測定することで、「ラクトフェリン」及びその「胃分解物」、「腸分解物」の脂肪蓄積抑制効果の有無を調べた。
ラットの前駆脂肪細胞に「ラクトフェリン」を0.03、0.1、0.3mg/mlの濃度で添加して培養し、7日後オイルレッドO染色により細胞内に蓄積されている脂肪の定量を行った。その結果、添加した「ラクトフェリン」濃度が高いほど、脂肪細胞の脂肪蓄積量が抑制された。これによって、ラクトフェリンが、脂肪蓄積抑制に有効であることを確認した。
また、同じくラット前駆脂肪細胞に、小腸での分解物に相当する「ラクトフェリン トリプシン分解物」、および胃での分解物に相当する「ラクトフェリン ペプシン分解物」を添加したところ、トリプシン分解物では、ラクトフェリン同様、濃度が高くなるほど、脂肪蓄積抑制効果が大きくなったが、ペプシン分解物では、いずれの濃度においても作用は認められなかった。この結果によって、脂質異常改善には、摂取する「ラクトフェリン」が胃で分解されず小腸まで届く“腸溶性”を持つことが重要であることが確認された。
以上の研究結果から、同社は、多機能性タンパク質「ラクトフェリン」が、メタボリック症候群の共通因子である「内臓脂肪の蓄積」の低減に有効であることを、ヒトの臨床試験結果で確認するとともに、そのメカニズムとして、胃で分解されずに小腸まで届いた「ラクトフェリン」および「ラクトフェリン トリプシン分解物」が、脂肪細胞の脂肪蓄積を抑制することを明らかにした。今後は、これらがそれぞれどのように作用し、内臓脂肪低減に役立っているのかについて、さらなる研究をすすめ、解明していくとしている。
なお、同研究成果は「第29回日本肥満学会大会(10月17日~18日 iichiko総合文化センター、大分全日空ホテル オアシスタワー)」で発表する予定となっている。
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