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2008年12月11日
花王、高濃度茶カテキン飲料の継続摂取によって肝臓の脂肪蓄積や酸化ストレスが低減することを確認
花王 ヒューマンヘルスケア研究センターは、日常の食生活の中で無理なく摂取できる食品を通した健康的な生活習慣の啓発を目的に、肥満や栄養代謝の改善に関する研究を継続している。今回、久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門 佐田通夫教授、坂田隆一郎医師との共同研究によって、肥満が関わる生活習慣病の一つである非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:non-alcoholic fatty liver disease)について、高濃度茶カテキン飲料の効果を検証した。
その結果、NAFLD患者に高濃度茶カテキン飲料を12週間継続的に摂取してもらったところ、肝臓への脂肪蓄積が低減し、肝機能が改善することを明らかにしました。また、NAFLDの発症は、体内に活性酸素が過剰に発生した状態である「酸化ストレス」が発症原因の一つであることが知られているが、高濃度茶カテキン飲料の継続的摂取によって、「酸化ストレス」の指標である尿中イソプラスタン値が低減することを認めた。これよって、高濃度茶カテキン飲料の継続的摂取が、NAFLD患者の治療に応用できる可能性を見出した。
過剰な飲酒が原因で肝機能が低下する病気はアルコール性肝疾患と呼ばれ、肝炎や汗線維症を経て、肝硬変、慢性肝炎と進行することが知られている。これに対し非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、お酒の多飲や肝炎ウイルスの感染を原因としない、子どもを含むすべての年代で発症する可能性がある慢性進行性肝疾患となっている。
NAFLDは生活習慣病の一つとして大きな問題となっており、米国では肝疾患としてもっとも高頻度に認められる疾患で成人の20~40%がその対象といわれている。また、日本でも国民の数%がNAFLDと推測されている。NAFLD患者は、肝臓の脂肪蓄積が増加して肝機能が低下し、その多くは、肥満、糖尿病、高インスリン血症、高脂血症を伴っているとのこと。またNAFLDが進行すると、肝硬変・肝細胞癌にもなりやすいことが知られている。
NAFLDの原因は、メタボリックシンドロームと同様に肥満が関係しているという。また、体内に活性酸素が過剰に発生した状態である「酸化ストレス」も、その発症原因の一つであることが知られている。しかし、治療は食事療法や運動療法が主で、有効な治療方法はまだ確立されておらず、摂取カロリーの制限や「酸化ストレス」を低減させる等の治療方法が考えられている。
花王では、これまでにも高濃度茶カテキン飲料摂取による生活習慣病への効果について検討し、肥満の人の内臓脂質の低減、脂質代謝の改善などを見出している。しかし、肝臓疾患への作用は検討されておらず、また脂質代謝の改善効果や茶カテキンの持つ抗酸化性の知見からNAFLD患者への効果が期待されたので、検討を実施した。
同研究のすべては、医師の管理下で実施した。日常生活ではほとんど自覚症状はないが、医師にNAFLDと診断された17名のNAFLD患者に、インフォームドコンセントを得て被験者になってもらい、無作為に3群に割付けた。各群に、高濃度茶カテキン飲料(1080mg/700ml:水分700ml中に茶カテキンを1080mg含む)、低濃度茶カテキン飲料(200mg/700ml)、無カテキン飲料(0mg/700ml)の、いずれか一つを12週間継続飲用してもらった。そして、肝臓や酸化ストレスへの影響を評価した。
肝臓の脂肪蓄積量は、腹部CT撮影画像の肝臓と脾臓のコントラストで評価する一般的手法で測定した。この手法は、CT画像の明暗で評価するもの。臓器に脂肪が蓄積するとCT像が暗く(濃く)なることと、脾臓は脂肪がつきにくいことを応用し、肝臓と脾臓のCT画像の明暗のコントラストで肝臓への脂肪蓄積が評価できるという。
高濃度茶カテキン飲料を継続摂取した群は、肝臓/脾臓のコントラストが、試験前の91.8±4.6%から12週目では正常値に近い101.8±4.7%(100%以上の場合は、脂肪肝を否定できる)に有意に上昇した。このことは、肝臓の脂肪蓄積量が低下したことを示している。また肝機能障害を示す指標である血清ALT(GPT)値についても、高濃度茶カテキン飲料を継続摂取した群は、12週間の継続飲用によって有意に低下し、肝機能の改善が認められた。
身体に酸化ストレスが加わると、脂肪酸の代謝過程により生成された酸化成分や細胞膜の成分が酸化を受けたものが、尿中に排泄されるという。その代表的な指標が尿中イソプラスタン値で、茶カテキン飲料飲用による「酸化ストレス」発生の変化を評価するため、茶カテキン飲料飲用経過中の尿中イソプラスタンを定量した。
高濃度茶カテキン飲料を継続摂取した群は、尿中イソプラスタン値が12週間の継続摂取によって249.6±11.6pg/mg creatinineから正常値に近い172.0±9.0pg/mg creatinine(正常値は約200pg/mg creatinine以下)に有意に低下し、「酸化ストレス」が減少していることが確認された。
なお、同成果は、第30回日本臨床栄養学会総会(10月9~11日、東京)で発表している。
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