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2009年11月05日

味の素、新種の辛くないトウガラシ「CH-19甘」の「カプシエイト」の研究成果を発表

 味の素は、新種の辛くないトウガラシ「CH-19甘」から抽出された成分「カプシエイト」の最新のメカニズム研究について、北米肥満学会(10月24-28日 米国ワシントンD.C.にて開催)で発表した。

 肥満は、エネルギー摂取量がエネルギー消費量を上回り、体脂肪として蓄積されることで引き起こされる。近年の研究では、1日15kcalから60kcal程度の小さな余剰エネルギーの日々の蓄積が、肥満の主な原因とされている。そのため、肥満予防対策として、交感神経(様々な臓器の働きを無意識下で制御し、エネルギー代謝や呼吸・循環などの恒常性を保っている自律神経の一種で、活性化するとエネルギー消費量を増やすといわれている)の活性化などによって基礎代謝を上げたり、運動や生活活動(運動以外の日常生活の中での身体活動)によってエネルギー代謝を上げたりするなど、日常の小さな積み重ねが大切であると考えられている。

 これまでの日米のヒトにおける「カプシエイト」のエネルギー消費量や体重、体脂肪に及ぼす影響の検討において、4週間の摂取によって安静時に約50kcalのエネルギー消費量の増加がみられ、また、12週間の摂取によって腹部の脂肪率が低減することが明らかになっている。

 一方、これまでの基礎研究によって、「カプシエイト」摂取によるエネルギー消費量の増加、腹部脂肪率の低減は、「カプシエイト」が消化管に存在する「TRPV1受容体」(カプサイシン受容体とも呼ばれる。知覚神経や迷走神経の末端に存在する受容体の1種で、熱や酸、そしてカプサイシンを受容する。受容された刺激は、脳へと伝えられ、「熱い」「痛い」「辛い」等と認識されることから、痛みや辛味を認識する受容体として知られている)に作用し、迷走神経(迷走神経は脳神経の中で唯一脳幹から発し、腹部にまで到達している。迷走神経は体で一番重要な神経であるといえる。首から横行結腸の3分の1までのほとんどすべての物の運動神経と副交感性の知覚神経が迷走神経であり、さらに、心拍数の調整、胃腸の蠕動運動、発汗や発話等にも関与している)を介して交感神経を活性化することで、骨格筋(筋肉の一分類であり、骨格を動かす筋肉を指している)や褐色脂肪組織(BAT)(脂肪組織の一種だが、通常の脂肪組織(白色脂肪組織)と異なり、エネルギーを消費して熱を産生する機能が発達している)でのエネルギー消費量が高まると共に、白色脂肪組織(人間の体内に存在する脂肪組織には、白色脂肪組織と褐色脂肪組織の2種類がある。白色脂肪は全身のあらゆるところにあり、とくに下腹部、尻、太もも、背中、腕の上部、内臓の回りなどに多く存在している)での脂肪分解が起こり、体脂肪を低減させるのではないかと推定されている。

 今回、同社では「カプシエイト」摂取によるエネルギー消費量の増加・腹部脂肪の低減には、「カプシエイト」の「TRPV1受容体」への作用が関与しているのではないかという仮説に基づき、「TRPV1受容体」を発現しないマウス(TRPV1ノックアウトマウス)を用いて、「カプシエイト」の体重増加抑制効果、臓器脂肪蓄積抑制効果を調べたところ、その効果が見られなくなったことを明らかにした。このことは、「カプシエイト」の「TRPV1受容体」への作用が、体重増加抑制ならびに体脂肪蓄積抑制に直接関わっていることを明確にするものであり、ヒトで見られた腹部脂肪の低減効果も、「カプシエイト」が「TRPV1受容体」に作用し、迷走神経を介して交感神経を活性化することによって引き起こされたものであることを示唆するものだとしている。

 トウガラシの成分であるカプサイシンも「カプシエイト」と同様に「TRPV1受容体」に作用することで、様々な作用を発揮することが知られている。しかし、カプサイシンは辛味が強く、多くの量を摂取することが難しいだけでなく、摂取後に消化管から血中へ移行し、血圧を上昇させるなど様々な作用を引き起こすことが知られている。一方、「カプシエイト」は消化管に存在する「TRPV1受容体」に作用するものの、血中には移行せず、血圧などに影響を及ぼさないことが知られており、「カプシエイト」は安全性の高い食品素材とのこと。また、その辛味がカプサイシンの約1/1000(辛味閾値:辛味閾値(辛さを感じることができる最も薄い濃度)での比較 同社調べ)であるにも関わらず、「TRPV1受容体」に作用し、体重増加抑制ならびに腹部脂肪蓄積抑制を引き起こすことを明らかにした今回の研究結果は、その食品成分の有用性の視点からも大変意義深いものと考えているという。

参考資料[PDF]

味の素=http://www.ajinomoto.co.jp/


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