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2008年05月19日

富士経済、一般用医薬品21品目の市場調査、メタボ対応で躍進するコレステロール改善薬・肥満防止剤

 富士経済は、メタボリックシンドローム対応を図り活性化が見込まれる循環器・血液用薬のほか、ドリンク剤、ビタミン剤、漢方薬、その他保健薬など一般用医薬品市場の5分野21品目を調査し、07年まで7年間の市場データを基に08年~11年までの動向を予測した。その結果、2008年の注目市場として、血清高コレステロール改善薬が35億円(07年比159%)、肥満防止剤が121億円(07年比116%)、漢方処方エキス製剤が166億円(07年比105%)に達する見通しなどが明らかになった。なお、詳細は報告書「一般用医薬品データブック2008 No.3」にまとめた。

 全体市場(3回に分けて発表した14分野65品目)では、07年が6191億円(前年比102.5%)に達し、08年が6318億円(同102.1%)を見込む。08年4月から40歳以上を対象に始まった特定健診によって、今年はメタボ対策の話題に事欠かない年になると見込まれる。一般用医薬品がこうした健康増進意識の高まりを追い風にセルフメディケーションの選択肢として確固たる地位を築く重要な年になると見込まれる。

 07年の市場規模は6190億円、前年比2.5%増となった。4月に、厚生労働省から出された“4・13事務連絡”による健康食品の機能表示規制によって、一般用医薬品の効能・効果表示の優位性が高まり、セルフメディケーションの選択肢としてその位置付けが高まったと見ることも出来る。その例としては、07年に前年比40%超で成長した肥満防止剤市場が挙げられる。特に、防風通聖散など生薬配合の「ナイシトール85」(小林製薬)が前年比55%も伸びてメタボ対策商品を代表するブランドとなった。「ナイシトール85」(小林製薬)や「ビタレスト錠」(ロート製薬)などを筆頭に効能・効果表示による差別化が定着し、08年も引き続き市場は拡大すると見込まれる。また、09年4月から全面施行の改正薬事法によって、07年は感冒薬のアンブロキソール塩酸塩、アレルギーのフマル酸ケトチフェン、感染症のアシクロビルなどが一般用医薬品に移行して、OTC化に向けた取り組みを後押した。08年以降も有力成分のOTC化が続き、市場が拡大すると考えられる。

 07年は生薬成分などを配合した漢方処方製品の好調が目立ち、漢方処方エキス製剤が158億円(対前年比109.3%)、薬用酒が116億円(対前年比105.3%)、肥満防止剤が104億円(対前年比140.2%)、女性保健薬が31億円(対前年比110.9%)となった。漢方処方の多岐に亘る効能・効果が期待を高め、市場のニーズを顕在化させている。さらに、台頭した健康食品・サプリメントの影響を大きく受けた各種ビタミン剤も、「パニオンコーワ錠」(興和新薬)、「キュティナ」(エスエス製薬)、「ビタレスト錠」(ロート製薬)など体感商品の登場や、復調した老舗大型ブランドの巻き返しが図られつつある。

 今回の調査で対象にした5分野のうちでは、メタボリックシンドローム対策による健康管理意識の向上によって、循環器・血液用薬と漢方処方エキス剤分野で、次の3品目市場の動向が注目される。一方で、ドリンク剤、ビタミン剤、その他保健薬の分野は低迷しほぼ前年並みの市場とみているとのこと。

 2008年注目市場として、血清高コレステロール改善薬は、07年が22億円(前年比137.5%)となり、08年が35億円(07年比159.1%)を見込む。コレステロール値改善市場は、特定保健用食品(コレステロール改善)が牽引しており、06年以降大豆イソフラボンの過剰摂取問題によって豆乳類が苦戦を強いられているものの、依然として90%と圧倒的なウエイトを占めているという。こうした中で、06年に厚生労働省がメタボリックシンドロームへの注意を喚起して、国民の生活習慣病への関心が高まり、店頭の生活習慣病対策コーナーの陳列が強化されて注目度が高まった。第一三共ヘルスケア「ユンゲオール3」、エスエス製薬「コレステガード」、小林製薬「ドルチトール」が発売され、積極的なマス宣伝を図って市場は一躍拡大に転じた。

 さらに、08年4月から開始された特定健康診断は、メタボリックシンドロームを炙りだし、生活習慣の改善を促す保健指導に重点が置かれ、この3社の積極的な販促によって、一般医薬品需要が拡大することが予想され、さらに成長が期待される。第一三共ヘルスケア「ユンゲオール3」は06年の厚生労働省のメタボ注意喚起を契機に、大幅に実績を拡大。07年も推奨販売を強化することで、さらに前年を上回る8億円の実績となった。エスエス製薬は06年、コレステロール吸収を抑えるとされる大豆油不けん化物配合の「コレステガード」を発売、“血液中のコレステロールを正常に近づける”ことを訴求し、生活習慣病分野での展開を強化している。07年もメタボ対応への関心の高まりに伴い店頭の取り扱いを広げ、6億円と倍増した。08年には特定健診・保健指導の開始が追い風となってさらに伸びが見込まれる。小林製薬は08年3月に酪酸リボフラビン配合の「ドルチトール」を発売しこの市場に参入。4月からの制度導入に向けた売り場展開やTVCMの投下など同社の販売意欲は高く、今後の伸びが期待される。

 肥満防止剤は、07年が104億円(前年比140.5%)に達し、08年が121億円(07年比116.3%)の見通しとなっている。08年は特定健診が始まり、肥満=メタボの構図の中で、服用による脂肪燃焼効果を訴求する肥満防止剤の位置付けの高まりが確実視される。参入各社ともセルフ販売に対応した広告展開によって認知度を高め、潜在需要の取り込みを進める予定で、一般用医薬品市場の中でも近年稀に見る有望市場となる見込みだ。この市場は、肥満症防止を効能・効果とし、洋薬イメージで販売されている漢方製剤とリノール酸製剤を対象とする。防風通聖散は肥満防止剤であるが、漢方処方エキス製剤で取り上げた。

 この市場は、90年代の後半にカネボウ薬品(現クラシエ薬品)が女性をメインターゲットにダイエットを訴求して市場が形成され、同社の「コッコアポ」ブランドに依存する市場構造が続いていた。2000年以降、ダイエット訴求の健康食品・サプリメントと競合して前年を下回り続け、05年にはさらに落ち込んだ。06年、小林製薬が「ナイシトール85」を投入し、にわかに認知され始めたメタボリックシンドロームと合致し、男性のメタボ対策需要を取り込む流れを作った。07年、メタボ対策として肥満防止剤が認知され、新たに男性を取り込み、08年の特定健診で市場は大幅に拡大する見込みとなっている。「ナイシトール85」は、大きく伸びた06年に続いて07年はトライアルからリピート需要の取り込みのために大容量商品を追加し、48億円(前年比55%増)の実績をあげて、メタボ対策の代名詞的なブランドとなった。また、08年は「ナイシトール85L」を追加し、男性中心のターゲットに女性も加えて、積極的な取り組みを続けており、大幅な実績拡大が見込まれる。「コッコアポ」シリーズは、07年6月に男性をターゲットにした「新コッコアポS錠」を追加し、メタボ対策を追い風に45億円(前年比36%増)と大きく伸ばした。

 漢方処方エキス製剤は、07年が158億円(前年比109.0%)となり、08年が166億円(07年比105.1%)を見込む。06年、漢方処方エキス製剤市場は漢方処方の持つ多岐に亘る効能・効果を悩み別・症状別に訴求して受け入れられ、前年比14%増と変化が起こった。07年はメタボ対策として防風通聖散が前年比2.1倍の31億円へと飛躍し、葛根湯と肩を並べるまでに市場規模が拡大。08年も引き続き牽引役となって市場はさらに伸びると見込まれる。

 防風通聖散は、メタボ対策を巡り、特定健診の導入などへの認識も影響したが、新薬では訴求が困難な肥満対策を脂肪燃焼効果と分かりやすく訴求してユーザーを取り込んだことが大きいといえる。08年は新規参入によって防風通聖散を巡る競合が激しくなることが見込まれる。漢方処方の持つ多岐に亘る効能・効果や天然素材であることは漢方処方への生活者の興味を高めている。健全な市場環境を作るためにも商品と情報をワンセットにした取り組みが漢方においても求められることになるだろう。クラシエ薬品は、07年の社名変更に伴い薬品事業は漢方に注力することを打ち出し、漢方処方エキス製剤市場における位置付けを高めた。ロート製薬は、06年に参入した「和漢箋」シリーズの中でも防風通聖散が牽引役となって07年は大幅に伸び、08年もメタボ対策を追い風に好調な推移が見込まれる。

調査の概要[PDF]
報告書目次[PDF]

富士経済=https://www.fuji-keizai.co.jp/

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