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2010年06月21日

富士経済、食品・化粧品などの生物由来成分・素材の国内市場調査、2015年のコラーゲン市場は172億円と予測

 富士経済は、今年1から3月にかけて、食品や化粧品、トイレタリー、医薬品などの原料に使われる生物由来有用成分・素材の国内市場を調査した。その結果、2015年は、ロコモティブシンドローム対応にも展開からコラーゲンが172億円(09年比138.7%)に達すると予測。健康食品と化粧品需要の伸び顕著なヒアルロン酸は138億円(09年比142.3%)と予測する。膝痛・腰痛への体感効果に美容の新規需要からグルコサミンは48億円(09年比154.8%)と予測。ジョギングなど筋肉疲労サポートに期待から、アンセリン・カルノシンは12億円(09年比6倍)に達すると予測した。なお、詳細を報告書「2010年版 生物由来有用成分・素材市場徹底調査」にまとめた。この報告書では、生物由来有用成分・素材55品目の市場規模、メーカーシェア、価格動向、有望応用分野などを調査分析し、方向性を明らかにした。

  植物系素材(39品目)の2009年は531億円(前年比102.3%)となり、2015年は587億円(15/09年比110.5%)と予測する。動物系素材(11品目)では、2009年は542億円(前年比106.9%)となり、2015年が726億円(15/09年比133.9%)と予測した。合成素材(5品目)では、2009年は111億円(前年比99.1% となり、2015年は135億円(15/09年比121.6%)と予測した。

 世界各国で昔から、効能が認められて来た生物由来素材は、健康食品、一般加工食品、化粧品、トイレタリー、医薬品や医薬部外品などの分野で広く活用されて市場を形成して来た。素材の有望な応用市場は、食品市場では「菓子類、サプリメント、ドリンク類、日本茶飲料、チルドデザート、スープ類」、化粧品・トイレタリー市場では「化粧水、洗顔料、美容液、乳液」である。06年のアガリクスの安全性問題、健康番組や表示の不当表現など相次いだ健康食品関連業界の問題によって、成長過程にあった原料市場は鈍化した。さらに中国産餃子の農薬混入事件以降、中国産を敬遠する傾向は原料市場にも及んだ。09年には特定保健用食品である食用油エコナの特保許可返上などもあり、右肩上がりの特保商品市場も減速が見込まれ原料市場を取り巻く環境は厳しさを増している。一方、予防医療によって医療費抑制を図りたい行政側は表示方法の見直しや抗酸化作用の評価基準作成など、健康食品の基準策定へと動き始めた。また安定的人気を誇る美容訴求分野に加えて、特定健診制度によるメタボリックシンドローム対策意識の高まりや、新たに登場したロコモティブシンドローム(加齢に伴う骨、関節、筋肉など運動器の障害のため、移動能力の低下をきたし要介護となる危険性の高い状態)への取り組みが、原料市場にとっても新たな拡大要因となり始めた。

 動物系由来素材(11品目)では、調査対象11品目中10品目がプラス成長し、07年に立ち上がり12倍に成長したアンセリン・とカルノシンを別格としても、成長期から成熟期にあるコラーゲン、グルコサミン、ヒアルロン酸、プラセンタ、エラスチンの伸びは50%以上と高い。美容機能訴求の健康食品、化粧品用途の需要が拡大しているのが主要因であると思われる。健康食品市場が低迷する中においても安定した需要があることがうかがえる。

 植物系由来素材(38品目)では、成長期あるいはすでに成熟期の素材が33品目と多い。05年比09年の数量ベースのプラス成長素材が25品目、100%未満の素材が13品目となった。マイナス成長の素材は、キノコ類やイチョウ葉、大豆イソフラボンのようなすでに成熟期の素材が多い。植物系素材は、アガリクス問題で伸び悩んだが、安全性やイメージの良さからニーズが高まっている。

 合成素材(5品目)では、コエンザイムQ10やα-リポ酸、L-カルニチンはブームが終息して09/05年は市場が縮小したが、新機能の訴求や付加価値素材の開発、用途の広がりなどで見直され、15年に向けては伸びが期待される。

 15年に向けての有望素材と訴求ポイントの金額ベースを見ると、調査対象55品目中、09年から15年の金額ベースの伸びが20%以上の素材を今後の有望素材とした。動物系は、導入期のアンセリン・カルノシンに加えて、プラセンタ、コラーゲンなど6品目、植物系は導入期素材3品目(ヘスペリジン、イチゴ種子エキス、フコキサンチン)を含めた8品目、合成はアミノ酸2品目と計16品目が有望素材に該当した。この有望素材の訴求機能は、特に女性が抱える冷え症、加齢に伴った肌のシワ・弛み・くすみ、関節痛などの悩みに対応する。特に美容に関する女性ニーズは根強く、ヒアルロン酸、グルコサミン、コラーゲンといった素材が安定的な需要を確保しているのに加えて、新規素材としてフコキサンチン、イチゴ種子抽出物も美容訴求で需要拡大が期待される。また、新たに高齢社会のキーワードとなったロコモティブシンドローム対策も重要な訴求コンセプトである。膝関節対応に加えて、筋肉疲労の改善・筋肉増強はスポーツサポートだけでなく運動器障害の予防にも有効であり高齢化と共にニーズの高い訴求機能と位置付けられる。

 主力用途となっている食品分野で、有望素材市場を牽引しているのはサプリメントとドリンク用途である。一般加工食品の市場は大きいが素材コスト、商品サイクル、臭いや色などの課題が残るため、一般加工食品よりも健康食品のサプリメントやドリンク用途が重視されている。各サプライヤーも新規機能や組み合わせを提案している。特に注目度が高いのが美容ドリンクであり、コラーゲンを主剤に副剤としてプラセンタ、エラスチン、セラミドなどの美容素材が配合されるだけでなく、これらの素材を主剤として活用する商品も積極的に提案して需要の拡大が図られて行くと見られる。化粧品分野は安全・自然などイメージの良さから植物由来の素材が好まれる傾向が強く、フコキサンチン、イチゴ種子抽出物など美肌と美白を兼ね備えた素材に注目している。しかし、配合量が少ないため、市場拡大よりも大手化粧品メーカーに採用され認知度を高めることが主目的と見られる。

 コラーゲンは、09年が124億円に達し、2015年が172億円(09年比138.7%)に達すると予測する。コラーゲンは美肌をはじめ、骨粗鬆症予防、関節障害改善、血圧コントロール、抗疲労などのエビデンス(調査研究に基づく、医薬品・治療・検査方法などの適正判断用証拠)がある。牛、豚、魚鱗・皮、鶏由来の素材があり、臭いが少なく低コストの牛由来が主流であったがBSE問題後は豚が主要原料となっている。魚由来も、低価格品や低臭タイプの需要が拡大している。また最近は安全性が確認されて牛由来に回帰し始めている。コラーゲンは、含有量を増やしたサプリメントを中心とした健康食品に加えて、美容ドリンク、鍋つゆ、ドレッシング、スープ、豆腐、ヨーグルトなど一般食品にも採用が拡大して、07年までは毎年約1,000トン増で推移してきた。美容素材として圧倒的な認知度があり、08~09年は大手の食品・化粧品メーカーが相次いでコラーゲンドリンクを発売し、増加率は2桁を維持した。最近では動脈硬化の予防、関節痛緩和や床ずれによる創傷の修復促進など高齢化社会に対応したエビデンスの蓄積が進んでいる。今後は関節や骨関連の研究開発が進むと見られる。10年以降、コラーゲンドリンクの競争と淘汰が予測されるとともにリピート率の高い美容訴求型のサプリメント、ドリンクを中心に骨や膝関節などのロコモティブシンドローム対応素材にも展開して高齢者層を拡大して5~10%前後で成長すると予測する。トップサプライヤーのニッピは、豚で高いシェア、牛・豚・魚由来で豊富なラインナップを持ち、ユーザーの要望への細かな対応を強みに食品から医薬品、工業用途まで幅広い実績を持つ。

 アンセリン・カルノシンは09年が2億円に達し、2015年が12億円(09年比6倍)になると予測する。アンセリン・カルノシンはβ-アラニンと1-メチルヒスチジンが結合したジペプチドである。ヒト・豚・馬・ウサギなどの哺乳類にはアンセリンとカルノシンが約50%ずつ、鶏などの鳥類ではアンセリン比率がカルノシンの約2~3倍含まれる。カツオやマグロなどはアンセリンが殆どである。運動などによって生成した乳酸によるph値低下を抑制し、抗疲労や運動能力の向上、筋肉痛軽減、尿酸値の低下などに役立つとされる。焼津水産化学工業がアンセリンをマグロ・カツオから量産する技術を確立し素材として展開した。鶏胸肉由来もあるが、イメージの良さからマグロやサケなどの魚由来の素材が主流である。09年のTV特番による反響、焼津水産化学工業と大正製薬・日清ファルマ・日本ミルクコミュニティのコラボレーション商品の発売、日本ハムと総合医科学研究所の共同開発ドリンク「イミダペプチド」の発売などが相次いで、市場は一挙に拡大した。トップシェアの焼津水産化学工業をはじめ、参入各社は独自に研究を重ねた機能性を訴求しており、素材認知が高まると共に順調な拡大が期待される。特に現代病の一つでもある疲労や通風に関する生活者ニーズ、ジョギング人口の増加などによる筋肉疲労サポートニーズの高まりによって、市場の大幅な成長も期待できる。滋養・強壮としてドリンクやサプリメントの伸びが期待される。

 グルコサミンは、09年が31億円に達し、2015年が48億円(09年比154.8%)と予測する。グルコサミノグリカンの体内合成は加齢に伴って低下し、膝痛・腰痛、変形性膝関節症などに繋がる可能性が高まる。グルコサミンは、軟骨を形成するプロテオグリカンの生成促進、軟骨のタンパク質分解酵素の抑制、炎症や痛みの原因となるプロスタグランジンE2の抑制作用がある。カニ・エビなどの甲殻類を原料にした動物由来とトウモロコシなどを醗酵させて抽出した植物由来がある。グルコサミンは認知度の高さ、体感性の良さに加えて、高齢化の進行に伴って膝や腰など関節に何らかの障害を感じている人が増加傾向にあることから、サプリメントを中心に市場は堅調に成長している。特に08~09年は飲料など一般食品用途への拡大、「美肌」といった新たな訴求ポイントが出て来たことで、「美容」訴求タイプのサプリメントやドリンクの新規需要が生まれ、09年の市場は20%以上増加した。関節対応ではメイン素材として、美容では複合素材として、さらに需要拡大が期待され、今後も順調に伸びると予測される。トップシェアの甲陽ケミカルは、純国産原料「コーヨーグルコサミンPG」などの販売を09年春にスタートした。国産の安心感から着実に実績を伸ばし、既存製品と合わせてサプリメント、飲料、乳製品など食品用途で堅調に拡大している。

 ヒアルロン酸は、09年が97億円に達し、2015年が138億円(09年比142.3%)と予測する。ヒアルロン酸は人体の皮膚、関節液、眼球、へその緒などに分布し、粘弾性から保湿や潤滑機能を果たしている。動物の皮膚や骨・関節などに含まれるが、食事による摂取が難しいにも関らず、加齢と共に体内量が減少するため、サプリメントで補い、膝痛・腰痛の緩和や肌のハリが期待される。医療用では関節機能改善剤、眼科手術補助剤、点眼剤、注射剤などに使用され、化粧品では保湿成分としてスキンケア、ヘアケア、ボディケア商品の有用成分、感触改良素材として配合される。美容素材として圧倒的な認知度と人気を持つコラーゲンと組み合わせた処方が多い。ヒアルロン酸は鶏の鶏冠から抽出するものと乳酸球菌を醗酵培養させた人工素材があるが安定供給が可能で低コストの人工素材が主流となっている。トップシェアのフードケミファでは、健康食品と化粧品需要が伸びたため09年は2桁増となった。今後、点眼薬や軟膏剤など医薬品・医薬部外品用途に注力し、積極的な販促活動に取り組んでいく。キユーピーはヒアルロン酸のヒト経口試験における変形性膝関節症への有効性を、フードケミファは経口摂取による吸収性及び肌水分量の増加を、マルハニチロ食品はヒト肌に対する美肌効果など主要訴求機能を中心に人レベルの高度なエビデンスの蓄積を進めている。

[調査方法]同社専門調査員による関係企業、研究機関、官公庁などへの直接面接取材を基本に、電話ヒアリング、文献調査から補完
[調査期間]1月から3月
[小売価格]
A4判 284頁:10万3950円
CD-ROM付価格:11万4450円
(すべて税込)

富士経済=http://www.group.fuji-keizai.co.jp/


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