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2009年06月30日

富士経済、一般用医薬品市場調査、2012年は量販店カウンセリングで漢方処方エキス製剤が176億円に

 富士経済は、09年6月の薬事法改正で販売方法が大きく変わった一般用医薬品市場の調査を行った。今回、ドリンク剤、ビタミン剤、その他保健薬、循環器・血液用薬、および漢方薬あわせて23品目の市場動向と、主要薬効69品目の集計を報告書「一般用医薬品データブック2009 No.3」にまとめた。その中のトピックスとしては、2012年の市場予測で、量販店カウンセリングでサポート強化から漢方処方エキス製剤が176億円(08年比107%)に達し、女性に全身引き締めの訴求が鍵の肥満防止剤が126億円(08年比110%)、健康美容食品から需要を取り込み関節痛治療薬が69億円(08年比115%)に達するなどが明らかになった。

 肥満防止剤は、08年が115億円に達し09年が120億円(前年比104%)を見込む。12年が126億円(08年比110%)と予測する。肥満防止剤は脂肪燃焼などの効能効果を表示してH・Bフーズ市場から需要を取り込み、小売店の取り扱い意欲も高く順調に推移している。06年の小林製薬「ナイシトール85」発売によって男性層を開拓し肥満防止剤市場に新たな需要を創出した。市場は倍増し一般用医薬品市場の中での注目度も高まった。07年は一般用医薬品だけでなく家電やサービス業までメタボ対策に注目した。このメタボ対策の需要拡大を追い風に、小林製薬「ナイシトール85」を中心にメタボ対策商品が増加し、市場は100億円を突破した。08年は特定健診の開始によってメタボ対策の需要が一層高まることが見込まれたが、肥満防止剤への特需効果は限定的で、市場全体では2%程度の伸びに留まった。09年は販売促進活動に注力する上位商品に需要が集約され、さらにはフィットネスクラブなどのサービス業の台頭もあり、伸び幅も縮小に転じると見込まれる。08年から始まった特定検診制度も各健保の取り組みに温度差があり、肥満防止剤市場にとっては大きな追い風として期待出来ないため、今後は女性のメタボ対策が鍵を握り、基礎代謝の向上など特定部位ではなく全体の引き締め効果を訴求した商品がどこまで牽引力を発揮するか注目される。

 関節痛治療薬(ビタミンB1主薬製剤の競合薬品として)は、08年が60億円に達し、09年が63億円(前年比105%)見込む。12年は69億円(08年比115%)と予測する。関節痛治療薬は、コンドロイチン硫酸ナトリウムの配合によってビタミンB1主薬製剤の関節痛訴求商品と直接競合する。関節痛訴求商品市場は、08年に100億円を突破した。この市場はゼリア新薬工業「コンドロイチンZS錠」によって形成された。同社では、主に口コミによる広がりによって他の広告展開とは一線を画し順調に推移した。07年まで店頭展開で体感性を訴求して順調に伸び、08年にはTVCMを連動させて圧倒的なブランドを確立した。今後も順調に伸びる見込である。関節痛の大きな潜在需要をめぐっては、H・Bフーズ(健康美容食品)のグルコサミン商品が薬局・薬店だけでなく通販展開によって顧客を囲い込んでおり、ここからさらに需要を取り込むことが成長に必要となる。

 薬用酒は、08年が118億円に達し09年が119億円(前年比101%)を見込む。12年は122億円(08年比103%)と予測する。薬用酒は歴史ある商品ゆえに若者層から老舗イメージ自体が敬遠され、ロイヤルユーザーによって支えられる推移が続いた。07年の養命酒酒造「薬用養命酒」の未病(自覚症状を検査確認できぬ健康状態)アプローチによって市場を巻き返すまでH・Bフーズ(健康美容食品)の攻勢を受けて厳しい状況であった。養命酒造は08年も引き続きTV、新聞、WEBのメディアミックスによる宣伝を展開して浸透度を高め、店頭の取り扱い意欲の向上に貢献した。東洋医学的なアプローチの未病訴求は漢方に対する市場のニーズの高まりもあって30代女性にも受け入れられ、今後も堅調な市場が続くと予測される。ただ、インターネット通販などで販売を行なっているケースがあり改正薬事法リスク第2類の通販不可規制でマイナスに転じる可能性もある。

 3回に分けて報告した実績全集計を見ると、08年の一般用医薬品69品目市場は、前年比わずか0.2%増の6277億円となった。07年は漢方処方の防風通聖散によるメタボ需要開拓やアシクロビルなどスイッチ成分の解禁によって前年比3%と盛り上がり08年も伸びが続くと見込まれたが、一転して冷え込んだ。08年は原料高、100年に一度の世界的な経済危機と、一般用医薬品に限らず各産業が厳しい状況に陥った。そんな中で、年々漢方処方への期待は高まり、08年も漢方処方トップシェアの防風通聖散は好調に推移し、一般用医薬品における漢方処方の位置付けを高めた。同じく20%シェアで堅調の葛根湯のほか、小青竜湯が花粉症薬として浮上しセルフ販売に適したイメージ訴求の動きを強めている。スイッチ成分では、08―09年にフラボキサート塩酸塩(頻尿・尿漏れ抑制薬)、イソコナゾール硝酸塩(膣カンジダ治療薬)、ニコチンパッチ(禁煙補助剤)などが解禁され、ジクロフェナクナトリウム(外用消炎鎮痛剤)が続く。今後もスイッチ成分の増加が見込まれる。

 改正薬事法による販売制度の変更を機に一般用医薬品は保健薬から治療薬の位置付けが高まり、将来的には治療薬が牽引する安定した市場になると予測する。07年の4・13事務連絡が食品表示規制となり一般用医薬品の保健薬にとって追い風となったが、08年はその代表であった関節痛訴求やしみ訴求商品の店頭価格が下落し、原料高の影響を受けて苦戦、さらに新たに登場したスイッチ薬品が十分に認知されず、市場への貢献が限定的であった。また各種原料の高騰、世界的な経済危機から生活防衛意識が各産業で強まり、一般用医薬品は保健薬を中心にその影響を受けた。

 漢方処方エキス製剤は、08年が165億円に達し09年が167億円(前年比101%)を見込む。12年は176億円(08年比107%)と予測する。防風通聖散は08年が38億円に達し09年が40億円(前年比105%)を見込む。葛根湯は08年が33億円に達し09年が34億円(前年比103%)を見込む。漢方処方エキス製剤は、漢方の210処方に基づき生薬を配合しエキスとして製剤化したものである。一般用医薬品と医療用医薬品を対象とし、医療用が80%以上を占める。07年の市場は防風通聖散が牽引して158億円に達した。08年は医療用医薬品、一般用医薬品ともに伸びて、防風通聖散のヒットで多岐に亘る効能効果を有する漢方処方エキス製剤への期待が高まり一般用医薬品市場での位置が上がった。08年も防風通聖散、葛根湯が牽引してプラスを続けたが、一方でセルフ販売主体の量販店での漢方処方エキス製剤の限界も見えた。09年の伸び幅はイメージを想起し易い処方へ集約する傾向が現れ縮小する見込みである。この市場は、全てリスク第2類に区分され、量販店でのセルフ販売が中心となるため漢方処方に対するカウンセリングが今後の課題となる。一般用漢方製剤承認基準の変更によって現状の210処方が拡大すると見込まれ、漢方処方エキス製剤のもつ潜在的な効能を生かすためにもカウンセリングへの対応は必要である。また、今回の薬事法改正によって漢方専門薬局を中心に行なわれている郵送販売が規制の対象となり、量販店販売がいっそう強まるとともに漢方専門薬局の位置づけ低下が想定され、市場にとってマイナスになると予測する。

 ビタミン保健薬は、大半が改正薬事法によってリスク第3類となったため現状の薬局・薬店ルートへの影響は軽微に留まると考えられる。また、登録販売者を置いて医薬品市場に参入を表明しているコンビニエンスストア、スーパーなどの取り扱いが想定されるが、両チャネルともプライベートブランド展開を強化していることもあり、ナショナルブランドへの関心は低いと予測される。リスク第1類となった興和新薬「パニオンコーワ錠」はカウンセリングが求められる更年期症状へのアプローチを強化し、第一三共ヘルスケア「トランシーノ」は相談窓口の開設を行い、改正薬事法の売り場制限に備えて薬剤師・購入者双方への情報提供を強化している。

 ビタミンB1B6B12主薬製剤は08年が155億円達し09年が151億円(前年比97%)を見込む12年は142億円(08年比92%)と予測する。この製剤は、眼精疲労、肩こり、腰痛の緩和を訴求しており、効能・効果でビタミンB1主薬製剤と直接競合する。ビタミンB1主薬製剤が眼精疲労、関節痛などセグメントが細分化されているのに対してビタミンB1B6B12主薬製剤は、目・肩・腰への総合的なアプローチとなっている。この製剤市場は、武田薬品工業「アリナミンEXプラス」のブランド力の形成によって発展し、目・肩・腰を訴求ポイントとして01年には200億円規模となった。その後、サプリメントの台頭により、05年に150億円に縮小、07年には「アリナミン」が「疲れ」に特化した展開で巻き返し、06、07年とプラスを続けた。08年は、下期の経済事情の悪化もあって保健薬全般が影響を受け厳しい推移となった。09年も経済環境の悪化が続いており、1回あたりの購入単価が高くなる錠剤は敬遠されることが想定され、ビタミンB1B6B12主薬製剤から一回当りの購入単価が安いドリンク剤へ流れる可能性がある。市場は圧倒的なブランド力を持つ「アリナミンEXプラス」の動向による所が大きく、09年も引き続き「アリナミン」展開が注目される。

 滋養強壮剤(09年見込145億円)は、その他保健薬分類の中で最大の規模を持ち、上位企業は今後も商品特性の理解促進を通じた販売を基本方針として行く見通しである。この推奨販売は、大手ドラッグストア勢の強さから中小薬局の集客力低下を加速させる可能性も懸念される。

 薬用酒はインターネット通販などで販売しているケースがあり、改正薬事法によって、現状ではリスク第2類の医薬品通販は一部対象者を除き規制された。滋養強壮剤と薬用酒の市場とも中高年層を中心とする需要構造であり、滋養強壮効果を訴求するドリンク剤や食品と競合して新規需要が獲得出来ず、縮小が続いていた。07年、シェアトップの養命酒製造の未病アプローチにより、TVCMと店頭活動を連動した展開が薬局・薬店で薬用酒を健康増進アイテムとして見直すきっかけとなり市場は拡大に転じた。08年後半も経済事情の悪化にも関わらず、未病訴求の継続展開によるリピート需要が下支えしてプラスとなった。

[調査方法]
富士経済専門調査員による調査対象企業及び関連企業・団体などへのヒアリング調査および関連文献を併用
[調査期間]3月~5月
[小売価格]10万5000円(税込)

報告書の目次[PDF]

富士経済=http://www.group.fuji-keizai.co.jp/


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