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2010年06月25日
富士経済、一般用医薬品の市場調査、2010年の漢方処方エキス製剤は第2類100%・多岐効能に期待感から177億円に
富士経済は、改正薬事法によって変動する国内の一般用医薬品の主要薬効73分野の調査を今年1月から4月にかけて実施し、分析の結果を3回に分けてまとめた。その結果、10年見込(改正薬事法施行7ヵ月を含む09年比)では、漢方処方エキス製剤が第2類100%・多岐効能に期待感から177億円(1.7%増)に達する見込み。啓発活動による需要開拓で、頻尿・尿もれ改善薬は25億円(8.7%増)の見通しとなっている。なお今回は、報告書「一般用医薬品データブック 2010 No.2」、「一般用医薬品データブック 2010 No.3」から、その概要を紹介する。
調査対象は、感冒関連用薬、循環器・血液用薬、泌尿器官用薬、歯科口腔用薬、ドリンク剤、ビタミン剤、その他精神神経用薬、それに漢方薬などの10分野50品目の市場を明らかにすると共に13年に向けて市場を予測した。
改正薬事法(09年6月施行)は、一般用医薬品を副作用リスクの高い順から第1類、第2類、第3類に分け、第1類は薬剤師に取り扱いを限定し、第2類は薬剤師の他に新たに登録販売者の取り扱いも可能としている。第3類は、通信販売も可能となる。ただし、通信販売の取り扱いが第3類に限定されることに対して日本オンラインドラッグ協会や全国伝統薬連絡協議会が反対の姿勢を表明しており、紆余曲折が予想される。また、第1類の取り扱いについてさまざまな課題が明らかになりつつある。
一般用医薬品市場の2009年は6251億円に達し、08年比99.5%だった。2010年は6247億円の09年比99.9%を見込む。09年は、新型インフルエンザの流行で医療機関受診の傾向が強まり、市場規模の大きい総合感冒薬は562億円と前年から6.6%も落ち込み、感染予防意識の高まりから含嗽剤特需(96億円前年比33%増)が生じた。
ドリンク剤とミニドリンク剤(一般用医薬品と医薬部外品を合わせた市場)は08年は天候不順で減少した。09年はミニドリンク剤が女性用や新コンセプト製品の投入で増加(621億円、前年比1.1%増)したが、冷夏でドリンク剤が低迷(1039億円前年比3.9%減)して、全体では減少となった。
改正薬事法は、第1類の取扱店減少や取扱い時間の縮小の影響から大幅に実績が減少する薬効品目も見られた。特に、販売実績が大きかった制酸薬、禁煙補助剤市場では09年は前年比で10%以上の大幅な減少となった。また市場は小規模であるが、新薬効製品として認知途上のしみ治療薬、口唇ヘルペス治療薬、エネルギー代謝改善薬などは、改正薬事法で第1類に分類され売り場の露出が低下して市場は減少した。市場全体では第2類の薬効品目が多いため、09年の減少は季節要因による需要減退が大きかった。
10年1月にはロキソプロフェンナトリウム水和物、エピナスチン塩酸塩、トロキシピドを有効成分とする第1類医薬品が承認されるなど、一般用医薬品市場の停滞状況を打破するために、スイッチOTCを積極的に展開し新規薬効領域開拓や顧客獲得を目指す動きが活発化している。
総合感冒薬は、10年が554億円(09年比98.6%)を見込む。09年は新型インフルエンザの流行で医療機関に需要を奪われ、改正薬事法による第1類の販売減が追い討ちを受け、10年も3月時点で前年より20%程度のマイナスと2年続きの縮小市場である。ただ、この分野は、第2類が90%以上のため改正薬事法の影響は比較的少ないと見ている。大正製薬と第一三共ヘルスケアでシェア約50%(10年見込)を占め、従来の総合効能訴求から個別症状訴求の需要開拓へと定着を図っている。今後第1類をはじめ機能性の高い製品の需要が回復すれば、市場全体も回復に向かうと予測される。
鼻炎治療剤は、10年が181億円(09年比96.3%)を見込む。厚生労働省から08年、09年と複数成分が一般用医薬品へ転用を承認された。09年の改正薬事法で第1類に分類される製品の落ち込みが目立ったが、花粉飛散時期の早まりや量の多さから第2類を中心に多くの製品が好調に推移した。改正薬事法や新型インフルエンザの流行に、鼻炎治療剤の需要期が重ならなかったこともプラスに作用した。アレルギー患者数は増加推移するとの見方も強く、今後、販売制度の整備が進めば、花粉飛散量・期間の影響を大きく受けながらも、市場は増加基調が予想される。さらに10年にはエピナスチン塩酸塩が承認され第1類に加わる可能性が高い。新規成分配合のスイッチOTCが加われば市場拡大に寄与するであろう。
頻尿・尿もれ改善薬は、10年が25億円(09年比108.7%)の見通しだ。08年に興和新薬「レディガードコーワ」(第1類)が発売され女性用という新たな切り口を提案した。小林製薬が飲みやすい錠剤タイプの実績を拡大したことも加わり市場は増加した。09年は前年の各社の新製品好調の影響を受けて大鵬薬品工業「ハルンケア」が実績を回復し、小林製薬とシェア上位2社が着実に実績を高めた。興和新薬の新製品「ジェントルスルーコーワ」の実績が加わり市場全体は増加し続けている。
まだ潜在需要は大きく認知度を高める必要性が強い。潜在需要に対する市場拡大ペースは鈍いと見られ啓発活動による着実な需要開拓の継続が必要である。消費者が症状を相談しにくいため、購入しやすい売場環境を整え、セルフ購入時に判断に役立つ宣材を提供するなどにより、今後も市場は拡大する。また日本OTC医薬品協会から頻尿治療剤、排尿障害剤のスイッチOTC候補が公表されており、この新製品が登場すると市場は更に拡大する。
口内炎治療剤は、10年が25億円(09年比108.7%)を見込む。09年は改正薬事法により店頭陳列が変更され、第1類は実績を縮小した。その一方で第3類は販売規模を拡大した。その背景には、第1類の代替品としての拡販と、口内炎治療剤に対する認識の高まりがある。08年には第一三共ヘルスケアが「トラフル錠」をヒットさせ、市場は前年に比べ50%近く増加して20億円に達した。09年も第3類が牽引して市場は伸び続けている。10年は第1類の回復により市場全体で増加する可能性が高くなっている。口内炎治療剤の需要は高まり、着実な市場の成長が予想される。今後新規成分のスイッチOTCが登場すれば更に市場は拡大すると予想する。
ドリンク剤は、10年が1026億円(09年比98.7%)に達する見通しだ。1回飲みきりタイプの液剤で、100mlサイズの製品とした。ドリンク剤は機能性清涼飲料の多様化の影響を受けて、疲労回復、滋養強壮全般からニーズに対応して細分化した製品によって需要を活性化する動きが顕著である。08年から2年続きで天候不順と景気の悪化から需要が減退して市場は減少を続けた。最近女性向けや目的別製品で新しいユーザーが増加しており、回復の兆しが見え始めている。09年シェア60%超の大正製薬は主力の「リポビタンD」が減少したが、新ブランドの「リポビタンファイン」「リポビタンハーフ」「リポビタンエース」そして脂肪代謝訴求の「リポビタンFB」が順調に伸びており新ユーザーを開拓しつつある。
肥満防止剤は、10年が129億円(09年比104.9%)を見込む。肥満症に効能・効果があり、漢方処方の製品がほとんどを占めるが、洋薬のイメージで販売されている製品を対象とする。07年に小林製薬「ナイシトール85」が男性向けメタボ対策の新需要の開拓に成功し、メタボ対策ブームから100億円を超える市場に成長した。09年はメタボ対策ブームが落ち着き、男性をターゲットとした製品から女性向けにシフトして代謝改善、便秘改善によるダイエット訴求の製品が好調に増加し続けている。今後も市場は拡大すると予測されるが、ただダイエット訴求製品が、H・Bフーズやダイエット機器の動向に左右されるため関連領域との棲み分けが課題となる。
漢方処方エキス製剤は、10年が177億円(09年比101.7%)を見込む。09年は、防風通聖散が男性のメタボ対策と女性のダイエット訴求により順調に推移し、さらにインフルエンザに関連して医療機関の麻黄湯処方が注目され、一般用医薬品においても麻黄湯需要が拡大した。
今後さらに、多岐に亘る効能効果は、たとえば循環器領域など洋薬では訴求が難しい領域への参入も期待でき漢方薬市場は順調に推移すると予測する。また、第1類が全般的に苦戦する中、多岐に亘る効能効果を持ちかつ第2類である漢方処方エキス製剤の位置づけが高まる可能性がある。
特定の処方に集中する現状のセルフ販売の限界を越えるためには、カウンセリング機能を定着させる販売手法が必要である。改正薬事法によるインターネット通販と郵送販売規制も、漢方処方エキス製剤市場にとって店頭政策が重要になる。参入企業は、苦戦する第1類に代えて漢方処方エキス製剤の棚割り強化に動きつつある。また通販規制に対して従来通り漢方薬の郵送販売を維持出来るように、”漢方薬など医薬品の郵送販売継続を守る会”を立ち上げ署名運動を行なっている。市場は、クラシエ薬品、ロート製薬、ツムラの3社で約70%(10年見込)を占め、店舗展開、新製品導入、活発な販促活動で市場を拡大しつつある。
[調査方法]
富士経済専門調査員による調査対象企業及び関連企業・団体等へのヒアリング調査及び薬事工業生産動態統計、有価証券報告書その他関連する公表データ・文献を併用・販売金額は、メーカー出荷金額
[調査期間]2月から5月
[小売価格]各10万5000円(税込)
富士経済=http://www.group.fuji-keizai.co.jp/
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