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2008年08月01日

富士経済、食品メーカー100社の食の安全に対する危機管理体制などの調査を実施

 富士経済は、独自技術・素材の研究開発、既存ブランドの強化、海外市場の開拓などに注力する食品メーカーの調査を実施した。その結果、海外生産拠点を持つ企業の90%超が「衛生管理指導」「定期的な監査」を実施。食の安全に関するトラブル発生時に最も重視する対応は「経営陣への迅速で正確な情報伝達」などが明らかになった。なお、詳細を報告書「食品メーカーのR&D戦略調査レポート 2008」にまとめた。

 同報告書では、前回(2年前)調査分析した食品メーカー40社を中心に、事業戦略、組織体制、研究開発費、共同研究状況、海外研究拠点、R&Dの方向性などに関して引き続き検証を行うとともに、製品開発におけるR&D部門の位置づけ、食の安全性に対するR&D活動をあらたに調査分析した。さらに、食品メーカー100社に「『食の安全』に対する危機管理体制」に関するアンケート調査を実施し、食品メーカー各社の食の安全に対する取り組み状況を明らかにした。

 すでに「食の安全」に関する独自システムを「構築済」の企業が72社と7割以上を占める。また、「構築中」が14社、「独自の危機管理マニュアルはないが、今後構築することを検討中」が10社あり、現在「食の安全」に関する独自システムを有していない企業のほとんども構築に取り組んでいることがわかった。

 「食の安全」に関するトラブル発生時における独自の危機管理マニュアル策定状況を尋ねたところ、「作成済」86社、「作成中」10社とほとんどの企業が策定している。残りの4社も「現在危機管理マニュアルはないが、今後策定することを検討中」であり、食品メーカーにとって危機管理マニュアルの策定は必須となっていることがわかった。

 「食の安全」に関するトラブル発生時に最も重視する対応としては、「経営陣への迅速で正確な情報伝達」が32社で最も多く、「一般消費者への速やかな公表」、「トラブルの原因究明」各18社、「一般消費者への情報提供、代金返還、代替商品の発送といったアフターフォロー」16社が続いている。「その他」と回答した16社では、「すべて重要なため同時に対応」、「ケースバイケースで各項目を重視して対応」といった回答が多かった。

 国内向け商品の海外生産拠点が「ある」企業は44社、「ない」企業が50社となっている(無回答:6社)。海外に生産拠点を持つ44社に海外生産拠点で実施している管理・監査の業務内容を尋ねたところ「衛生管理指導」「定期的な監査の実施」をそれぞれ40社(91%)が実施しており、次いで「自社品質基準の徹底遵守」32社(73%)、「最終商品の国内に輸入した際の品質検査」30社(68%)が多かった。

 原油価格・原料価格の高騰、少子高齢化、食品市場の縮小、商品サイクルの短期化など、食品メーカーを取り巻く環境は厳しさを増している。特に、原油価格・原料価格の高騰によるコスト増を商品価格に転嫁しにくいことが追い討ちを掛けている。また、老舗メーカーの賞味期限改ざん、中国産冷凍食品の農薬事件など、企業経営に悪影響を及ぼす食の安全に関連した問題が後を絶たず、食品メーカーにとって早急に安全管理体制を構築・強化することが重要な課題となっている。そのような中、食品メーカーは、安定的な成長を目指した独自技術・素材の研究開発、既存ブランドの強化などと共に、成長が期待される海外市場の開拓、中長期的な成長を目指した独自技術・素材の開発に注力する傾向が高まっている。

 研究開発テーマのトレンドとして、開発テーマの2008年のキーワードでは、「健康」が、独自素材によるメタボリック対応などの機能研究の深耕と健康素材を利用した商品開発。「既存ブランド強化」では、コアブランドを中心に機能性素材の利用や新製法などによる商品ラインナップの拡充。「海外市場開拓」では、海外研究開発拠点の設置など、現地の味覚や食文化など現地の消費者ニーズに適合した商品開発。「美味しさ」では、嗜好の多様化への対応、他社との差別化のための配合・焼成・発酵など生産加工技術の開発・ブラッシュアップ。「共同開発」では、資本・業務提携、持ち株会社化による素材や生産技術面で相乗効果を狙う共同商品開発。「食の安全」では、微生物や残留農薬などの検査・分析技術の開発および、異物混入防止、細菌制御などの設備、技術開発。「生産効率化」では、輸送・原料・生産コストの上昇を補うために生産効率向上を図る製造設備や生産技術の研究開発--が挙げられた。

 前回の調査時に続き「健康」を重視する企業が多い。健康食品や介護食市場への参入が目立った前回に比べて、健康食品の伸び悩みやメタボリックシンドローム対策などから、独自素材による健康関連の機能研究の深耕や、健康素材を利用した一般食品の開発が多くなっている。また、少子高齢化・人口の減少など国内食品市場に対する縮小懸念、原油・原料価格の高騰によるコストアップ、食品の健康被害といった環境変化に伴って「海外市場開拓」「食の安全」などに注力する企業も多い。

 「美味しさ」と「健康」の両立が食品業界における商品開発の基本テーマとして定着しており、機能性素材の探索・生理機能の研究成果などの基盤技術研究を如何に製品開発や販売実績に繋げていくかが課題となっている。リコピン、ウコン、乳酸菌など科学的根拠に基づいた美容・健康機能食品の開発など「おいしさ+機能性素材・生理機能」の研究が盛んになっている。また、食品業界におけるR&D戦略は原点回帰の傾向にあり、生き残りをかけコア事業・コア商品のさらなる強化を図るため、味、香り、食感、口溶け、色、鮮度、素材感、連食性など食品本来の美味しさの向上を図るための技術開発が活発になっている。

[小売価格]
A4判 261頁:10万5000円(税込)

富士経済=http://www.group.fuji-keizai.co.jp/

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